ユーザー視点が重要な企業のモバイルアプリ開発
あなたが作ったモバイルアプリが使われない“やっぱりな理由”
自社でモバイルアプリケーションを開発する際、その成功はユーザーからのサポートに懸かっていることを忘れてはならない。では、ユーザーである従業員からの支持を得るにはどのようにすればいいのだろうか。
エンタープライズモバイルアプリケーションを導入するときには、ユーザーによる受け入れの重要性を見落としてはならない。
2014年の1年間にダウンロードされたモバイルアプリケーションの総数は100億個にも上る。だが、大ヒットを記録したのはそのほんの一部にすぎない。多くのアプリケーションが見限られる中で、成功するアプリケーションの条件とは何だろうか。ユーザーの利用を促進する3つの方法を取り上げる。大半のIT部門がその全てまたは一部を採用できるものだ。
- レガシーアプリケーションは極力モバイルに移行しないようにする
- サービスをモバイル対応にすることでメリットがあるかどうかを考える
- ユーザーのニーズを中心に考える
ポイント1:レガシーアプリケーションへの対応
何でもモバイル対応にすればいいというものではない。多くの大企業は時代遅れとなった大規模なERPやCRMシステムを運用している。そうしたレガシーシステムに対して「モバイル版はないのか」という声が挙がることは少なくない。だが、その真意は「モバイルに対応した特定のプロセスや機能がほしい」ということだ。
筆者は過去に一度だけ、ERPシステム全体をモバイル化したことがある。しかしながら、その時はうまくいかなかった。最も重要な点は、モバイル対応にするプロセスを特定した上でアプリケーションをモバイル化することだ。一部の規模の大きいメインフレーム対応のアプリケーションで起こりがちなことだが、アプリケーションをモバイル対応する際に一からプログラムを書きなおさなければならない場合がある。そのときは諦めて別の手段を探すべきだ。
ユーザーがアプリケーションを使用して何を行いたいかについて話を聞くと、モバイルデバイスにレガシーアプリケーションを移植するよりも現実的な方法が見えてくることが多い。
ポイント2:やってはいけない、手当たり次第の「アプリ化」
モバイル対応にする価値のあるプロセスを特定したときによく起こる間違いがある。それは、全てを「アプリ化」しようとすることだ。だが、タスクにはモバイルアプリケーションに向いているものと、そうでないものがある。
デバイス特有の機能やオフラインで作業できる機能が必要であれば、アプリケーションを作成するという選択肢は正しい。出張の多いビジネスワーカーは、飛行機の中で長時間を過ごすことも多いだろう。機内Wi-Fiを利用すればモバイルWebサイトにアクセスできるが、ほとんどの場合は追加料金が必要になる。
もう1つ考慮すべきは、モバイルWebサイトで音声や動画などの機能を使用すると、ユーザーエクスペリエンス(UX)を大きく損なってしまうという点だ。ネイティブアプリケーションと比べて、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)の機能が限定的であることが多いためである。
モバイルアプリケーション開発に投資する前に、どのようなサービスをモバイルで利用できるようにし、ユーザーがいつどのように使うのかを熟慮されたい。その答えが出たら、そのサービス専用のアプリケーションが必要なのか、モバイルWebサイトで事足りるのかを判断する必要がある。
ポイント3:ユーザーのニーズを中心に考える
モバイルアプリケーションの開発を決定し、そのアプリケーションで行う処理を決めたとしよう。では、アプリケーションの導入を確実に成功させるにはどうすればいいだろうか。
モバイルアプリケーションを成功させる唯一最大の決定要素は、ユーザーのニーズに関心を向けて対処できる能力だ。どんな理由であれ、多くの企業が「ユーザーのニーズを中心に考える」という原則の重要性を見落としたがために、多額の開発資金を無駄に費やす結果になっている。なぜこのような状況が頻発しているのだろうか。
例えば、次のような状況を想定してみよう。企業の幹部や開発委員会が要件リストを作ると、IT部門はその要件を実現するアプリケーションを開発して提出する。意思決定者から「これは望んだものとは違う」と言われ、変更点と新たな要件が書かれたリストを突き付けられる。そして、このサイクルは繰り返し行われる。あっという間に企業は何カ月または何年もの労働力と資金をアプリケーションに費やすことになるが、完成するころにはアプリケーションは役に立たなくなっている。
どうしたら、このサイクルを断ち切ることができるだろうか。それは、サードパーティーのアプリケーションを評価したり独自のアプリケーションを開発したりするときには、ユーザーを従業員ではなく「消費者」だと考えることだ。消費者は何でも一度は試すが、自分たちの生活にプラスにならなければ、二度と使うことはないだろう。成功するアプリケーションは、プロセスの全段階でユーザーの関心を引き付ける。そして、ユーザーは自分以外のユーザー(従業員)にアプリケーションを勧めようという気になるという好循環をもたらしている。
アプリケーションの開発プロセスで重要なのは、アプリケーション全体を成功に導くために重要な役割を持ったメンバーでチームを編成することだ。筆者の経験上、用意すべき役割は次の6つである。
- 幹部レベルの後援者:アプリケーションを周囲に売り込んで、開発プロセスを推し進める
- プロダクトマネジャー:開発サイクルを細部まで監督し、アプリケーションをユーザーのニーズに対応させる
- アプリケーションマーケティングリサーチャー:あらかじめユーザーのニーズを調査し、アプリケーションが完成したときに、アプリケーションがもたらすメリットを従業員に伝える
- 開発者:実際にアプリケーションを設計して作成する
- 品質保証テスター:アプリケーションを一通り実行して潜在的なバグを探す
- ユーザーエクスペリエンステスター:一般的な従業員で、アプリケーションの外観、印象、使いやすさについてフィードバックを提供する
上述のぞれぞれの役割はどれも同じくらい重要だと考える必要がある。チームの一体感を意識することで、ユーザーの関心を第一に考えたアプリケーションを作ることができる。
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