顧客サービスとしてモバイルアプリを提供する企業が増えている。このモバイルアプリの成否ひいてはビジネスの成否の鍵を握っているのは、ユーザーエクスペリエンスだ。今、このテストの重要度が高まっている。
モバイルコンピューティング全盛の時代、OSは頻繁に更新され、新たなデバイスが絶えずリリースされている。そのため、ユーザーエクスペリエンスのテストという地味な仕事がビジネス戦略の中心に据えられるようになってきた。さらに、ソフトウェアを使ったユーザーエクスペリエンスのテストをサードパーティーに委託する傾向も広がっている。
モバイルデバイスを使ったサービスの利用を求めるコンシューマーが増えているため、金融業界や小売業界などは、生き残りを懸けてモバイルデバイス戦略を策定する必要性に迫られている。
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どのようなアプリでも、最も重要な評価基準はほぼ間違いなくユーザーエクスペリエンスになる。利用者に「an app for that」(そのためのアプリ)を提供することも大事だが、処理が遅いアプリや動作しないアプリを提供してしまうことは絶対に避けなければならない。モバイルアプリのアクセスや使用で問題を起こした多くのブランドが、TwitterやFacebookで非難の嵐に見舞われている。
モバイルデバイスによって24時間年中無休でアクセスされることが当たり前ではなかった時代、つまりソーシャルメディアがまだ普及していなかった時代は、銀行や小売業者のオンラインシステムに多少のダウンタイムが発生しても大きな問題にはならず、わずかな人々が停止したことを知るだけだった。だが現代では、ごく短い時間ダウンしただけでも、利用者がソーシャルメディアにクレームを書き込み、数分後にはその事実がニュースWebサイトによって全世界に広がる。
ユーザーエクスペリエンスのテストでは、実際のアプリ使用時のパフォーマンスを一定の間隔でテストする。そのため、企業はこのテストにかつてないほど多くの時間やリソースを費やす必要がある。
その結果、ソフトウェアテスト産業の重要性がこれまで以上に高まっている。米IDCの調査によれば、欧州でディスクリートソフトウェアテストに充てられる費用は、2014年から2018年にかけて毎年平均13.7%ずつ増加すると見込まれている。この費用は2013年に58億ドルに達していることから、2018年には110億ドルに達すると推定される。
IDC European Servicesの調査部長を務めるジェニファー・トムソン氏は、「デジタル化の影響により、高まり続けるビジネスニーズを満たすことに対するIT企業への重圧が大きくなっている」と話す。
「品質の高いアプリを迅速に製品化することは重要だ。だが、ソフトウェアの毎回のリリースや顧客対応の新しいアプリを予定通りに開発して提供することにも徐々に関心が高まっている」
「主力がデジタル製品やモバイル製品にシフトしたことが、欧州全体のディスクリートアプリケーションテストサービスに対する需要を高めていると認識している」と同氏は続けた。
英ショーディッチを拠点としてモバイルアプリを開発するRed Cは、ここ5年の間に100以上のモバイルアプリを開発している。アプリの提供先には、英Save the Childrenや、ユーティリティインフラサービスプロバイダーの英PN Dailyなどがある。
Red Cの管理部長を務めるロブ・スタージェス氏によれば、モバイルアプリはOS、リリース、デバイスが新しくなるたびに定期的にテストする必要があるという。
Red Cは、モバイルアプリのテストをアウトソーシングしている。「全てのテストを社内で実施するのは不可能に近いため、当社はテストをアウトソーシングしている」とスタージェス氏は話す。
だが、テストをアウトソーシングするメリットは、リソースを補うことだけではない。
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