新人IT担当者のためのネットワーク機器入門・機器選定編【第1回】
より速く、より密に、よりシンプルに 「スイッチ」の進化に3つの潮流(1/2 ページ)
ネットワーク機器の基礎的な技術と機能について説明してきた「新人IT担当者のためのネットワーク機器入門」。今回からは最近の製品トレンドをおさえつつ、機器選定のポイントを説明していきます。
新人IT管理者のあなたも、いろんなベンダーのカタログやパンフレットを並べて眺めていると、いずれ気付くでしょう。それぞれ独自機能としてうたっているものが、名前が違うだけで、中身は何となく似ていると……。
この連載の「シーズン1」に当たる「新人IT担当者のためのネットワーク機器入門」で繰り返し述べてきた通り、ネットワーク技術の基本は劇的に進化しているわけではありません。ネットワーク機器の進化には大きな流れがあって、それは何となく川の流れと似ています。最初はたくさんのベンダーからいろいろな機能を持った機器がリリースされ、幾つもの支流を作り出します。それが合流したり派生したり、なくなったりを繰り返すことによって、本流という大きな流れになり、いつの間にかほとんど同じ機能を持つ機器へと洗練されていきます。
ベンダーはたくさんの機能を“夢”とともに語ります。もちろん次の時代に進むために夢も必要でしょう。しかし、実際に稼働しているネットワークは現実そのもので、現実が必要としているのはより安定的な機能です。一過性の夢に流されることなく、現実をしっかりと見極めた機器の選択をしていきましょう。
私は長年ネットワークに関わってきた中で、大々的に広告宣伝を打っていたのに1年後にはカタログの隅の方に追いやられ、さらに数年たつとあっさりとEoTS(End of Technical Support)になっているような製品をたくさん見てきました。
実のところ、私も若いころはカタログに踊らされ、リリースしたばかりの新製品を好んで使用していました。しかし、いざふたを開けてみると、最初は動作していたはずなのに急に変な挙動を見せるようになったり、突然動かなくなったりと、いろいろなトラブルに見舞われてきました。そのたびにお客さんから「うちはテストセンターじゃない!」とか「人柱にするな!」とか、烈火のごとく怒鳴られたものです。
そんな反省も踏まえつつ、今回はまずレイヤー2およびレイヤー3で動作するスイッチ(L2スイッチ/L3スイッチ)について、最近の製品動向を振り返りつつ、見ていきたいと思います。
管理型と非管理型
フレーム(イーサネットでカプセル化したデータ)の転送先を切り替える「スイッチング(L2スイッチング)」に関する基本的な技術は随分前に確立しています。シンプルにスイッチングという技術処理的な観点から見た場合、各製品の差はほとんどないに等しいでしょう。送信元MACアドレスを学習し、「MACアドレステーブル」(注1)の情報を基にフレームを転送するという基礎的な機能においては、どの製品も同じです。しかしここ数年、スイッチはスイッチング技術をベースとしつつ、より高速に、より密に、よりシンプルに進化を続けています。ここでは、まずスイッチの大きな分類を説明し、その後で最近の進化の形を見ていきます。
注1 詳しくは「L2スイッチの要点『MACアドレステーブル』と『VLAN』を理解しよう」を参照。
スイッチはまず大きく「非管理型(アンマネージド)スイッチ」と「管理型(マネージド)スイッチ」の2つに分類することかできます。この2つの違いはその名の通り、管理できるかできないかです。さすがにそれだけの説明だと少々ざっくりし過ぎかもしれませんので、もう少し深く説明しましょう。
スイッチはIPアドレスを使用して管理されます。つまり管理型スイッチと非管理型スイッチの違いは「スイッチ自体にIPアドレスを設定できるかできないか」です。非管理型スイッチはIPアドレスを設定できないスイッチです。IPアドレスを設定できないので、ネットワークの管理環境に入れることはできませんが、オフィスの「島ハブ」(デスク群ごとに配置するスイッチ)やSOHO(Small Office/Home Office)環境で使用するスイッチとして重宝されています。最近ではライフタイム保証(保有中は故障時にも無料で製品を交換してくれる保証制度)が付いた非管理型スイッチも多く販売されていて、あらかじめコールドスタンバイ機(動作させずに待機状態にしておく予備機)を用意しておき、壊れたら置き換える形で手軽に使われています。
それに対して、管理型スイッチはIPアドレスを設定できるスイッチです。IPアドレスを設定できるのでネットワークの管理環境に入れることができ、運用管理サーバから障害を検知したり、パフォーマンスを監視したりできます。企業のLANではコアスイッチからフロアエッジスイッチまでを管理型スイッチで冗長化構成、そこから下の島ハブを非管理型スイッチで非冗長化構成にして、コストの効率化を図ることが多いでしょう。
スイッチの進化に3つの潮流
さて、ここからはスイッチがここ最近どのように進化してきているかを「速度」「密度」「シンプルさ」、3つの観点から説明します。
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