企業をなかなか気にしてくれないApple
“iPhone使いたがり社員”がきっかけ、レガシーITはもう通用しない(1/2 ページ)
米Appleの「iPhone」「iPad」を業務効率向上に生かす企業は少なくない。従業員が使いたい端末を使えるようにすれば、IT担当者の株も上がるかもしれない。
米Appleはコンシューマー向けに斬新で魅力的なモバイル端末を開発したことで、世界で最も世界で最も成功した企業の1社になった。Appleはエンタープライズ市場で有力な企業になることを目指したわけではないが、結果的にこの市場でも成功する形となった。この状況は、企業のIT部門にさまざまな影響をもたらしている。
スマートフォン「iPhone」や同製品の成功に重要な役割を果たしたアプリケーションマーケット「App Store」が2007年に登場したことで、モバイルコンピューティングの新時代の幕が切って落とされた。これを境に、コンシューマー向けのApple製端末を使って、誰もがメールをやりとりしたり、従来はデスクトップPCで処理していた作業をしたりできるようになったのだ。
当時、エンタープライズ市場を支配していた「BlackBerry」「Palm」などの端末は、そのレベルに達していなかった。
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iPhone、iPadユーザー期待の新製品
AppleとIT部門の微妙な関係
企業向け企業の充実図るApple
企業に浸透したApple製品
IT管理サービスプロバイダーでApple製品のリセラーでもある米TSPの創業者、マイケル・オー最高技術責任者(CTO)は、「Appleはコンシューマーの心に響く製品を作った。IT製品の購入や使用に関するAppleの訴求力は、企業のIT部門のそれよりも大きい」と話す。
iPhoneや後に登場したタブレット「iPad」は、他のコンシューマー向けデバイス、特に米GoogleのモバイルOS「Android」で動作する端末が企業に進出する扉も開いた。これに対して、IT部門は本格的な対応を迫られた。加えて、私物端末の業務利用(BYOD)というトレンドに伴い、全く新しいエンタープライズ市場が現れた。エンタープライズモビリティ管理(EMM)、企業向けファイル同期/共有(EFSS)、モバイルアプリケーション開発、セキュアリモートアクセスなどの市場だ。
従業員にとっては、自分の使いたい端末、すなわちApple製端末を使った方が楽しく仕事ができ、業務効率も高くなる。「従業員が使いたいデバイスをIT部門がサポート対象にすれば、従業員はIT部門に対して協力的になるだろう」。こう話すのは、米調査会社TECHnalysis Researchの創業者で主席アナリストを務めるボブ・オドネル氏だ。「逆に、従業員の端末をサポート対象にしなければ、彼らは会社支給の端末よりも良いと思うものを何とかして使おうとするだろう」
企業にとってのメリット
IT部門がApple製端末をサポート対象にすることで得られるメリットは、他にもたくさんあるようだ。米IT調査サイトTech Pro Researchが2015年4月に実施した調査によると、回答者の32%が「Apple製品を使用することでIT部門への問い合わせが減った」と答えた。また「従業員がITを活用するためのトレーニングが減少した」と答えたのは31%、「アップグレードサイクルが長くなり、そのコストを削減できた」と答えたのは23%だった。
「多くの従業員がプライベートな生活でApple製端末に慣れているので、企業は本格的なトレーニングをしなくても済む」と指摘するのは、米建材会社Carlisle Construction Materialsのソフトウェアアナリスト、ジェフ・ジャノビッチ氏だ。同社では、外回りの従業員のほぼ全員がiPhone、iPadといった「iOS」端末を使っているという。「皆、iOSデバイスのインタフェースと操作方法に慣れている」とジャノビッチ氏は話す。
Appleが企業で存在感を増してきたのに伴い、IT部門はAppleの技術を深く学ぶ必要に迫られている。前出TSPのオー氏は、「IT管理者はAppleが毎年開催している開発者向けカンファレンス『Worldwide Developers Conference(WWDC)』に参加しなくても、年額99ドルで同社の開発者プログラムに登録すれば、iOSの新しいエンタープライズ機能を詳しく学ぶことができる」とアドバイスする。
セキュリティに不安を感じる企業もあるだろう。ただし、Appleはセキュリティに関しては、全般的にGoogleよりも先を進んでいる。AppleのiOSはクローズドなOSであるのに対し、Androidはオープンソースソフトウェア(OSS)のOS「Linux」をベースとするオープンなOSである。そのことも手伝ってか、Androidはセキュリティの脅威が比較的多く明るみに出ている。オー氏によると、Android向けのアプリストア「Google Play」はAppleの「App Store」よりも多くのマルウェア問題が発生しているという。
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