IT部門の多くがサポートを避けてきた米Apple製品。だが私物Apple製品の社内利用が加速する中、無視し続けることこそがリスクとなる。では、どう対処すべきか?
もはやIT部門にとって、従業員が職場に持ち込む米AppleのiPhoneやiPad、Macをサポートすることに、ほとんど選択の余地はなくなった。問題は、こうしたデバイスをいかにうまくサポートできるかである。
大企業のIT部門が、社内に浸透しつつあるAppleデバイスを今後も無視し続けるなら、それなりのリスクを覚悟する必要がある。2012年12月、米ラスベガスで開催された「Gartner Data Center Conference 2012」において、米Gartnerのクライアントコンピューティンググループ副社長兼リサーチディレクター、マイケル・シルバー氏はこう述べた。
「Using Apple Products in the Enterprise(Apple製品のエンタープライズ利用)」と銘打たれたセッションで、「Apple製品のサポートは、もう避けて通れない。抵抗は無意味だ(Resistance is futile)」と、シルバー氏は参加者に向かって語った。
企業のApple製品に対する態度について聞いたところ、参加者の回答はばらついた。全体の62%が限定的な利用を許可し、また16%が完全に取り入れていると回答。その一方で、12%はネットワークへの接続を認めておらず、同様に12%がApple製品を無視していた。
こうした選択肢の中で「唯一、不適切なものは“無視”である」とシルバー氏は述べ、「IT管理者はむしろ、Apple製品の“モニタリング”を始めるべき」だとしている。
「多くの組織がセキュリティに誤った認識を持っている」と同氏は語る。
多くのITマネジャーがApple製品の導入に後ろ向きなのは、Apple製品がどのようなメリットをもたらすか明確に見えないからだ。そのためサポートに踏み出せずにいる、とシルバー氏は言う。
「人々は、信頼性やセキュリティが改善されていること、ITを先見性のあるものに見せることなどを話題にする。だがそれらはソフトウェア的なものであり、これらの価値を推し量ることは難しい。調査研究の視点から、“(Appleユーザーの方が)より生産的である”と指摘するのは簡単ではない」(シルバー氏)
ただ、ユーザーの満足度を軽視すべきではない。企業の中には、Apple製品のサポートによって優れた人材を確保できたという声もある。当初はもっぱら米国の西海岸での現象だったが、ここにきて東海岸や中西部でも、特に最近大学を卒業した人々の間で、こうした傾向が高まっているという。
MacとWindowsマシンのサポートコストは、どちらが高いか、あるいは低いか。はっきりとは分からないが、Macのハードウェアは、購入コストが高くても管理コストは安いという声が、シルバー氏のクライアントの間には多いようだ。
もっとも、「ユーザーが実行するアプリケーションの種類にもよる」とシルバー氏は指摘する。アプリケーションの80%がローカルで実行される古い世界では、Macのサポートにはコストが掛かる。ベンダーがOSの新しいリリースに対応しない場合はなおさらだ。
だが今日、より多くのアプリケーションがWebブラウザや仮想マシンで実行できるようになり、OSに対して中立になった。こうした状況では、Macをサポートするための人件費は、ハードウェアの追加導入コストを相殺する。
「いずれにせよ、われわれがいえることは、両者にほとんど差はないということだ」と、シルバー氏は結論付けた。
IT部門は、いったん方向性を決めれば、AppleのiOS製品に対するサポートレベルに関して、さまざまな意思決定を行うことになる。
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