ハイブリッドクラウドにおけるStorage as a Serviceの役割とはクラウドバーストのメリットをフル活用するには

ハイブリッドクラウドでは、データを保存する場所がパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。データ管理とレイテンシ問題を解決するのが「Storage as a Service」だ。

2017年06月08日 12時00分 公開
[Jim O'ReillyTechTarget]
ハイブリッドクラウド市場は2021年に現在の3倍近くまで成長するという

 ハイブリッドクラウドプラットフォームでは、クラウドバースト(※)の機能を通じて極めて柔軟な演算処理能力を提供している。だがITチームにとっては、ハイブリッドクラウドデータの適切な配置や、パブリッククラウドとプライベートクラウドを横断するデータへの高速アクセスが課題になる。それを支援できるのが「Storage as a Service」(サービスとしてのストレージ)だ。

※通常はプライアベートクラウドやオンプレミスでアプリケーションを稼働させ、ピーク時にだけパブリッククラウドにアプリケーションを移してサービスを継続する手法

クラウドバーストのジレンマ

 クラウドバーストの根本的な問題として、データを不適切なクラウド環境に置いている場合がある。Webサービスやメディア配信といった多くのアプリケーションにとって、データはパブリッククラウドとプライベートクラウドの両方に複製するのが最善だ。データの大部分が静的なアプリケーションであれば、このモデルが適していて、複製のプロセスを自動化できるソフトウェアも存在する。

 では、データセットが動的な場合はどうすればいいのか。レイテンシ問題を抱えながらやっていくことを選ぶITチームもあるが、その場合、クラウドバーストがもたらすメリットの多くは消滅する。そこで代替として、特定のデータ配置技術を利用してレイテンシを削減する方法がある。

 クラウドをサービスの連続と考えると、動的か静的かを問わず、もし自分のハイブリッドクラウドプラットフォームの複数のゾーンにデータの複製があれば、事業継続やノンストップコンピューティングの支えになる。もし社内のプライベートクラウドの部分がダウンしたとしても、サービスに支障を来すことなく全てのワークロードをパブリッククラウドにバーストできる。

 この場合、データ管理には2つの選択肢がある。まず、プライマリーデータのコピーを社内に保存して、継続的にパブリッククラウドへ複製する方法だ。クラウドバーストのときは、データはクラウドプラットフォームに書き込み、そこで演算処理を行った後に、他の複製へと同期する。だがこのモデルでは依然として書き込みのレイテンシが発生する。また、データの要素が同期できないわずかな期間が存在する可能性もある。このためにプログラミングは複雑になる。

 もう1つの選択肢は、プライマリーデータのコピーをパブリッククラウドに置いて、社内のコンピューティングワークロード用にそのデータへのアクセスを高速化する手段を見つけ出すことだ。この場面において、Storage as a Serviceがハイブリッドクラウドコンピューティングのための効果的なモデルとなる。

ハイブリッドクラウドにおけるStorage as a Serviceの役割

 Zadara StorageやVelostrataのようなStorage as a Serviceベンダーは、パブリッククラウド内のスペースをレンタル方式で提供する。このスペースにはAmazon Web Services(AWS)やGoogleのような大手を利用することも多い。これでバーストしたワークロードの可用性やレイテンシ問題が解決して、ユーザーはデータを複数のエリアに複製して災害への備えを強化できる。

 社内のレイテンシ問題を解決するため、Storage as a Serviceベンダーは顧客の施設内にキャッシュシステムを導入して、高速転送とディープキャッシング用に最適化する。このキャッシュは、社内のシステムで使うためのホットデータの複製を保持すると同時に、オンプレミスのプライベートクラウドで変更したデータのための書き込みキャッシュという役割も担う。

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