超高速ネットワークの挫折と復活【第3回】
超高速ネットワークが越えられない「400Gbpsの壁」(1/3 ページ)
普及まで長い道のりを経た“10Gbps級”ネットワーク。時代は既に、より高速な規格を求めていた。
前回「25G/40GBASE-Tの普及を阻む『大きすぎる消費電力』」までで銅線ケーブルを利用するイーサネット規格の概略を紹介した。今回はより高速なイーサネット規格に関する流れを見てみよう。厳密に言えば、まだ取り上げていない銅線ケーブルが若干残っているので、それらについても併せて紹介する。
10Gbpsのデータ伝送速度を実現するイーサネット規格(以下、10GbE)に関しては、以下の表1のように2002年~2007年あたりに主要な規格の標準化が完了した。最近まで10GbEの普及はなかなか進まなかったが、その間も通信量そのものは倍々ゲームとは言わないものの、着々と伸びていくことが予想されていたので、より高速なデータ通信速度のイーサネットが必要になるという見通しがあった。
| 規格名 | 採番 | 確定年 |
|---|---|---|
| 10GBASE-SR、10GBASE-LR、10GBASE-ER、10GBASE-LX4 | IEEE 802.3ae | 2002年 |
| 10GBASE-CX4 | IEEE 802.3ak | 2004年 |
| 10GBASE-T | IEEE 802.3an | 2006年 |
| 10GBASE-KR、10GBASE-KX4 | IEEE 802.3ap | 2007年 |
100GbE確定までの道のり
10GBASE-Tが確定した2006年に、IEEE(米国電気電子技術者協会)の標準化組織である802委員会は、次の規格の標準化作業に着手する。2006年にスタディーグループ(研究委員会)の「IEEE 802.3 Higher Speed Study Group(HSSG)」を立ち上げ、ここが次世代イーサネットに関する検討を開始。2007年8月にはRoad to 100G Alliance(2008年にイーサネット業界団体のEthernet Allianceが吸収)という業界団体を結成した。創業メンバーはデータ管理/分析技術を開発するBay Microsystems、半導体企業のEnigma Semiconductor、Integrated Device Technology、Lattice Semiconductor、IPネットワーク関連ソフトウェア開発企業IP infusionの5社である。この団体のメンバーはIEEE 802.3 HSSGとかぶっている部分もあったが、建前上は独立してそれぞれ活動していた。
IEEE 802.3 HSSGは40Gbpsと100Gbpsのイーサネット規格(それぞれ40GbE、100GbE)に関するPAR(Project Authorization Request:規格標準化作業のプロジェクトを立ち上げるリクエスト)を出し、2007年12月に「802.3ba」として採番されている。2008年1月に802.3baとしては初めてのミーティングを開き、以後標準化に向けてミーティングを重ねた。最終的にこれは2010年6月に「IEEE 802.3ba」として標準化が完了した。Road to 100G Allianceの方は、この完成を待たずに2008年中旬にはもう事実上活動を終了しており、2009年には消滅した。要はPARを通すための業界活動が目的の組織だったのだ。
そんなわけで、100GbEは10GbEと比べると、割とあっさりと決まった。当初、100Gbpsの実現は非常に技術的な難易度が高いといわれており、いきなり100Gbpsではなく、まずは40Gbpsの実現を狙って、その後で100Gbpsに向かおうという声も少なくなかった。そこから考えると少し意外というか、肩透かしに終わった感じもある。主要な規格の仕様は以下の表2のように定めている。
| 規格名 | ケーブル構成 | 採番 | 確定年 |
|---|---|---|---|
| 40GBASE-KR4、40GBASE-CR4、40GBASE-SR4、40GBASE-LR4 | 10Gbps×4対(8芯) | IEEE 802.3ba | 2010年 |
| 100GBASE-CR10、100GBASE-SR10 | 10Gbps×10対(20芯) | ||
| 100GBASE-LR4、100GBASE-ER4 | 25Gbps×4対(8芯) | ||
| 100GBASE-KR4、100GBASE-KP4、100GBASE-CR4 | IEEE 802.3bj | 2014年 |
語尾の記号は接続方式である。以下の表3にまとめた。
| 記号 | 説明 | 最大伝送距離 |
|---|---|---|
| KR | バックプレーン | 1メートル |
| KP | バックプレーン | 1メートル |
| CR | ツイストペアケーブル | 100GBASE-CR4では5メートル、40GBASE-CR4では7メートル |
| SR | 短距離(Short Range)接続向けのマルチモード(複数の反射/屈折角を利用する伝送方式)光ファイバー | OM4タイプの光ファイバーの場合は100メートル、OM3タイプの光ファイバーの場合は150メートル |
| LR | 長距離(Long Range)接続向けのシングルモード(単一の反射角/屈折角を利用する伝送方式)光ファイバー | 10キロ |
| ER | データセンター間(Extended Range)接続向けのシングルモード光ファイバー | 40キロ |
CRが2本の銅線をより合わせたツイストペアケーブル(銅線)、SR、LR、ERが光ファイバーでの接続だ。バックプレーン(基盤の相互接続用ハブ)向けのKRとKPは、ラックあるいは筐体(きょうたい)内での接続用だ。CRはラック内、あるいは隣接ラック間接続に使う。データセンターなどのフロア内接続はSR、データセンターのフロア間、あるいは近隣データセンター間接続はLR、少し距離のあるデータセンター間はERを使うことになる。40GbEの方は全部、芯線が4対(送受信それぞれに芯線4芯、計8芯)の10Gbps用ケーブルという構成になる。
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超高速ネットワークの挫折と復活
ITシステムが扱うデータが爆発的に増大している今、超高速ネットワークへの期待は大きい。しかし10Gbps級ネットワークの普及は遅れている。その原因と克服への挑戦を追う。
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