エンタープライズデスクトップ市場が変わる
Chromebookというもう1つの選択肢 iPhone世代がブラウザベースのOSを支持する理由
Webで育ってAndroidやiOSデバイスに育まれた世代にWindowsは最適な選択肢といえるのだろうか。代替案としてのChromebookについて考える。
大量のデスクトップPCを管理しているITプロフェッショナルや、Windows 10搭載のPCを使っているエンドユーザーであれば、Windowsが複雑な転換の途上にあることを認識しているだろう。何千もの小さな傷口から生じる痛みを感じないのは、熱心な支持者や愛好者だけかもしれない。MicrosoftはPC向けOSの現実的な代替を顧客に提供できないまま板挟み状態となるのか、あるいは成長指向を支持する企業にとっての別の道が存在するのか。
iPhoneに慣れ親しんだ世代にとってのWindowsとは
現代のPCは、見た目がどれほど優れていようと、姿を変えたワークステーションにすぎない。搭載されているのは違う時代のために設計された複雑なOSだ。今となっては多くの人に忘れられ、さらに多くの人は経験したこともない。しかもこのPCモデルは掘り返され、改変されている。
現代のWindows 10を特徴付けるとすれば、「子羊の皮をかぶったマトン」とでも言うべきか。長年かけてWindowsに慣れ親しんできた世代であれば、このOSの新しい外観にも順応するだろうし、その方がずっといい。だが、職場に入ってくる新人の多くは、Webで育ってAndroidやiOSデバイスに育まれた世代だということは認識しておかなければならない。そうした世代にどうやってWindowsの世界に順応しろというのか。
モバイルOSは部分的に、現代のコンピューティングの溝を埋めている。だがほとんどのユーザーは、若いミレニアル世代でさえも、時にはキーボードとマウスが支える従来型の大型画面端末の必要性を認識する。AndroidやiOSもスケールアップしてそうした用途に対応しようとはしているが、そうすることで、更新のたびに複雑性が忍び込む。私はそこに既視感を感じ、われわれがOSに対して違うアプローチを考えない限り、歴史が自ら繰り返すことへの不安がよぎる。
PCに隠れたChromebookの活用
Googleは最近、現在のデスクトップOSを公然とあざける広告の中で、現代のPC(およびMac)にまつわる痛点を突いた。この広告は新学期商戦に照準を絞っているが、この市場は既にChromebookとChrome OSに反応している。そして、この広告は一部のITプロフェッショナルに、「自分の組織にとって、ChromebookやこのスタイルのOSに何らかの事業価値はあるだろうか」と考えさせるきっかけになったと確信する。
これ以上踏み込む前に、Windows PCやMacに適している作業や活動もあるという認識は重要だ。実際のところ、一部の職種は、そうしたプラットフォームで実行されるアプリケーションによってほぼ規定されている。そうした用途は数多くあり、その場合、従来型のデスクトップPCやノートPCは最適だ。だが、ブラウザベースのコンピュータの核心にうまく当てはまる職種を見つけることは、そう難しくはない。
では、もしも私がレガシーPCやMacをChromebookのようなものに変える魔法のつえを提供したとしたら、あなたはそれを使うだろうか。もしもUSBメモリスティックを持っていて、数分を割くことさえできれば、それは可能だ。CloudReadyはGoogleが出資しているNeverwareが開発したOSで、GoogleのオープンソースのChromium OSをベースとして、Chrome OSと同じアーキテクチャを共有している。私はこれをUSBメモリから起動することで、2006年モデルのノートPC「Dell Inspiron」を非常に使い勝手の良いコンピュータに転換させることができ、また、工場でインストールされたWindows 10に触れることなく、手持ちの「Lenovo X1 Carbon」を連休用のスポーティーなChromebookとして活用できるようになった。
PC上で最も重要なプログラムはブラウザ
ポケットに入れて持ち歩ける端末でWebにアクセスできることの利便性を疑う人は誰もいない。それでも多くの職種や活動では、エンタープライズWebアプリケーションやツールを最大限に活用するため、一般的にキーボードとマウスに支えられた大型の画面が必要とされる。
だが一部の従業員は、たとえ使うのがWebブラウザだけだったとしても、完全管理された会社のPCを使うことに対して必ずしも満足感を抱いていない。われわれの経験からすると、時間がたつにつれ、そうしたWebベースアプリやリソースの利用とは何の関係もない事柄の変更のために、事態は悪化の一途をたどる。一方、Chromebookであれば、Webとクラウドサービスの効率的な利用のために最適化されている。
新しいChromebookやChromebox、あるいはChromebaseに目を向ければ、この市場における選択肢は豊富にある。だが、もしそうしたデバイスの事業価値を追求したければ、「CloudReady Enterprise Edition」は検討に値する。特に、大量のPCの入れ替えを検討している場合(Windows 7のサポートは2020年1月14日で終了する)、あるいは危険地帯で利用するための認定を受けた耐久性の高いPCや機器などの特殊なニーズがある場合にはそれが当てはまる。
ブラウザベースのOSを支持する思考
Chromebookの出荷に関する公式統計は見つけるのが難しい。だがStatCounterによると、Chrome OSが世界のデスクトップ向けOS市場で占めるシェアは0.5%。つまり、Google以外のベンダーがブラウザベースOS市場で進出を拡大できるチャンスは豊富にある。
ハイテク業界の大手はいずれも、Chromium OSプロジェクトをべースとした独自のOSを開発する能力とチャンスがあり、AmazonやVMware、IBM、Huaweiといった各社が、それぞれのクラウド製品や補足的なサービスを下支えするために参入することは想像に難くない。Appleの「思考実験」も興味深い。デスクトップモデルには、未開拓の事業価値や市場の潜在性が豊富にあり、Googleは既にこの市場で、特に教育分野において、MicrosoftやAppleからシェアを奪取しようとしている。
Windows 10のSモードは、現時点ではMicrosoftが提供するWindows 10の代替にすぎず、これだけで不十分だ。「Office 365」は既に、特にMicrosoft Office Onlineの拡張を使った場合、ブラウザ環境で快適に動作する。では、失うものはあるのか。Chrome OSに目を向けた場合、「Google Drive」に代わって「OneDrive」を選ぶのは小さなことのように思える。Chrome OSが基盤とするLinuxは、もはやMicrosoftの天敵ではなくなった。従ってこれも問題はない。そしてもちろん、同社にはiOSとAndroid向けの「Microsoft Edge」もあり、事は非常に簡単そうに思えてくる。
管理型デスクトップサービスの未来
現代のデジタルワークスペース提供には数多くの方法があり、Chromebookは企業にとってのもう1つの選択肢を提供する。だがMicrosoftが戦わずしてデスクトップを手放すはずがなく、うわさを信じるとすれば、同社が管理型デスクトップサービス市場に進出する可能性もある。パートナーと提携し、デバイスとサービスとレガシーWindowsアプリケーションのサポートをうまく組み合わせて企業向けに提供できれば、Microsoftがこの分野で勝利を収める可能性もある。Windows 10とWindows 10のSモードは間違いなくその一部になるだろう。だがそのOSのラインアップに補完的なブラウザベースのOSを加えることも理にかなうかもしれない。あなたはどう思うだろうか。
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