AI技術の本格的な導入がそれほど進んでいないことが、このほど実施された実態調査で分かった。その原因は1つではなく、そして根深い。
機械学習をはじめとする人工知能(AI)技術はコスト削減に貢献し、従業員の思考力を必要としない作業を減らす助けになり、従業員にもっと意味のある仕事を与えながら、利益を増大させることができる。だがAI技術の普及は遅れており、AI技術をほとんど、あるいは全く導入していない組織は、さまざまな業界を横断して多数に上る。原因は何なのだろか。
監査、税務、助言サービス企業のKPMGがこのほど実施したAI技術普及調査「KPMG 2019 Enterprise AI Adoption Study」によると、同社が調査対象とした30社の約30%は、一部の機能にAI技術を導入していると回答した。約半分は、向こう3年以内にAI技術を本格導入する見通しを示した。ただし既にAI技術を本格的に利用している企業は、調査対象とした企業の17%にとどまった。この30社は、経済誌Fortuneによる企業の収益ランキング「Global 500」にランクインしている企業だ。
KPMGのデータ・分析担当責任者、トレイシ・ガシャー氏によると、AI技術の普及率が低い一因は、説明可能性の欠如と関係がある。ガシャー氏は、「特定の問題を解決するために数多くのソフトウェアが開発され、非常にうまくいっている」と話す。だが一般的に、どうやってその答えにたどり着いたのかが、ビジネスユーザーにとってはやや分かりにくい。
AI技術を使ったソフトウェアのベンダーは、AI技術の仕組みに関する一般的な説明はしてくれる可能性がある。ただし、その原動力となる複雑なアルゴリズムについて掘り下げた説明はしてくれないことが一般的だ。技術に関する詳しい説明の欠如は、それがニューラルネットワークのように極めて複雑だったり、アルゴリズムが企業秘密だったりといった理由があるにしても、ビジネスユーザーに不安を感じさせかねない。
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