「Kubernetes」と「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)の組み合わせはハイブリッドクラウドにも広がっている。Googleのハイブリッドクラウド構築サービス群「Anthos」を取り入れるHCI製品を紹介する。
第3回「Nutanix、Red Hat、NetAppの『HCI×Kubernetes』は? マルチクラウドも視野」に続き、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)でコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を運用するための製品を紹介する。本稿は、Googleのハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスを組み合わせたインフラ)構築サービス群「Anthos」が動作するHCI製品を取り上げる。
NetAppは同社のHCIアプライアンス「NetApp HCI」で、ハイブリッドクラウドを構築するための他ベンダーとの協業を広げている。例えばGoogleとの協業では、同社のAnthosがNetApp HCIで動作することを検証済みだ。Anthosの根幹を成す機能でもあるコンテナ管理ツール「Google Kubernetes Engine」(GKE)を、NetApp HCIで運用できる。GKEは、Googleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)とオンプレミスインフラの両方でコンテナ運用ができるKubernetesディストリビューションで、ハイブリッドクラウドでのコンテナ管理を容易にする各種サービスを提供する。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)も、同社のHCIアプライアンス「HPE SimpliVity」でAnthosを利用するための、動作検証済みの構成を提供する。NetApp HCIと同様、HPE SimpliVityでもGKEを実行できる。この構成を採用することで、比較的簡単にコンテナ化したアプリケーションの開発、テスト、運用のための環境を導入可能だ。
Cisco Systemsも、同社のHCIアプライアンス「Cisco HyperFlex」でAnthosを利用できるようにしている。仮想マシンベースとコンテナベースの両方のアプリケーションに共通するインフラを提供することが同社の狙いだ。
全4回の記事で紹介した、KubernetesをHCIに組み込んだ製品やサービスは、進行中の取り組みの一例にすぎない。HCIベンダーはさまざまな方法でコンテナをHCIに取り入れるための取り組みを推進しており、今回紹介したのはその代表的な例だ。コンテナネットワークを構成するための標準的なネットワークインタフェースの仕様「Container Network Interface」(CNI)をHCIに取り入れる動きもある。
近い将来、ほとんどのHCI製品が何らかの形でコンテナに関連する機能を搭載するようになるだろう。そうしなければ取り残されてしまう。Kubernetesを取り入れるHCI製品は、従来のアプリケーションとコンテナで構築した新しいアプリケーションを同じインフラ製品で運用することを可能にする。同時に、インフラのリソース集約というHCIのそもそものメリットも実現する。これによってIT運用の合理化が進むだけでなく、新たなイノベーション(技術革新)を生み出す余地も生まれる。
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