クラウドサービスのアカウントを複数管理するときは、利用料金の増大を防ぐために全てのアカウントの利用状況を把握し、使わなくなったアカウントは完全に削除することが必要だ。これらの作業時の注意点とは。
クラウドサービスのコストを削減するには、誰がどのような理由でリソースを使用しているのかを把握することが大きな課題になる。複数の管理者が1つのアカウントでクラウドインフラを管理していると、こうした情報の把握が難しくなる。複数のアカウントでクラウドインフラを管理することで、リソースの利用状況の把握や、コスト管理を容易にすることが可能だ。前編「AWSアカウントを一元管理する『AWS Organizations』『AWS Control Tower』の違いとは」に続く本稿は、「Amazon Web Services」(AWS)を例に取り、クラウドサービスのアカウントを複数運用するときのコスト管理のポイントを説明する。
AWSのアカウントを複数運用する場合、全てのアカウントのコストを一元的に監視する方法が必要になる。特にコストの重大な変化をすぐに特定できることが必要だ。CloudZero社の同名コスト管理ツールをはじめとするサードパーティーツールを使用することは選択肢の一つだ。CloudZeroはアカウント内または複数のアカウントにまたがって支出の変化が起きたときに、その事実を通知する。
例えば、あるアカウントで誰かがAWSの仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)の仮想マシンスペックを拡張し、通常時のコストが1カ月当たり100ドルから150ドルになったとする。IT部門はコスト管理ツールから通知を受け取り、どのアカウントがどのサービスを利用することで発生したコストなのかを特定できる。
使われなくなったアカウントは余計なコストを発生させる原因となるため、注意が必要だ。アカウント数に基づいて課金されるクラウドサービスでは、アカウントを使っていなくても利用料金が発生する。アカウントを削除することで、そのアカウントの利用料金は確実に発生しなくなる。ただしアカウントの削除プロセスは複雑で難しい。
AWSはユーザー企業に対し、アカウントを削除する前に他のアカウントとの連携を解除することを推奨している。誤ったアカウントを手違いで削除するリスクを減らすためだ。削除の前に、必要なリソースやデータのバックアップを取っておく必要がある。
アカウントを削除してもリソースの利用が自動的に終了するわけではないことにも注意が必要だ。クラウドサービスの請求書を確認し、そのアカウントに関連付けられたリソースが他のアカウントで使用されていないかどうかを確認する。アカウントを解約したら、数日後にもう一度サインインして、追加料金が発生していないことを確認する必要がある。
クラウドサービスのアカウントの削除は、ワンクリックで済む簡単なプロセスではない。「アカウントを削除する日」を毎月または毎四半期ごとに割り当てておくとよい。
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