ITシステムを利用する企業にとって、ID管理は重要な仕組みだ。認証や認可といった基本的な部分からID管理のポイントまでを幅広く解説する。
アイデンティティー管理(以下、ID管理)とは、情報システムにおけるアカウントや人事情報といったアイデンティティー情報と、そのアクセス権限情報のライフサイクル管理を意味する。本稿ではID管理の基本的な役割から管理のポイント、一般的なID管理システムの仕組みについて解説する。
一般的にIT環境におけるID管理の役割は、正しい利用者を「認証」し、業務に必要なITシステムや情報を正しく利用させるために「認可」することだ(表1)。逆に言えば、認証や認可を正しく実行するためには、IDを正しく管理しなければならない。
| 役割 | 説明 |
|---|---|
| 認証 | ITシステムへのアクセスが許可されている本人かどうかを確認する |
| 認可 | 業務に必要なITシステムや情報に適切な権限でアクセス可能な状態にする |
企業内におけるID管理の主な目的としては、セキュリティ対策、ITガバナンスの向上、コンプライアンス(法令順守)などが挙げられる。最近ではクラウドサービスを含めて、IDの一元化とシングルサインオン(SSO)、セキュリティ対策を進めることを目的としたID管理プロジェクトもある。
認証と認可は同時に実施することが一般的なため、混同されがちだ。両者の違いについて、よく理解しておく必要がある(表2)。
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