クラウドサービスへの全面移行計画を白紙にしてNutanixの「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)を導入した英国のロイヤル・オペラ・ハウス。決定の理由は「コスト」だ。実際にどのくらい削減できるのか。
老朽化したシステムをクラウドサービスへ移行させようとしていた英国のロイヤル・オペラ・ハウス(ROH:Royal Opera House)は方針を転換。サーバやストレージ、仮想化ソフトウェアを共通の筐体に収めたNutanixの「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)製品の導入にかじを切った。前編「あの名門歌劇場がクラウド全面移行をやめて『HCI』を選んだ“なるほどの理由”」に続く後編となる本稿は、HCI導入によってROHが実現したコストメリットにスポットを当てる。
ROHでは、オンプレミスデータセンターに置くシステムと、クラウドサービスを活用するシステムがそれぞれ約半分になっている。ROHはコストの観点から、そのハイブリッドな構築法を高く評価している。ROH技術運用責任者のダニエル・ロビー氏によると、現在はWebサイト、チケット販売、オフィススイートといったシステムがクラウドサービスにある。他のシステムをクラウドサービスに移行させる計画は「今後もない」とロビー氏は言い切る。「コストが高額になってしまうからだ」というのが、その理由だ。
ロビー氏は、システムをもしクラウドサービスに全面移行させたら、HCI製品を採用している現状と比べて、コストが35%高くなると言う。この数字は、移行作業のコストやストレージの利用料金を中心に計算したものだ。サポート料金も入れると、HCI製品ではクラウドサービスと比較して、全体的に約45%のコスト削減ができると同氏は説明する。「ロックダウン(都市封鎖)によって売り上げが減っている今、とてもありがたいことだ」(同)
ROHがNutanixとRubrikの製品を導入したメリットはコスト以外にもある。ハイブリッド構成による災害やサイバー攻撃への強さがそれだ。ROHはオンプレミスデータセンター内に置いたシステムのデータについて、クラウドサービスを使ってバックアップを取っている。万が一オンプレミスデータセンター内のシステムに被害があっても、事業継続ができるようにしているという。
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