Metaだけでなく、MicrosoftやCisco Systemsなどのユニファイドコミュニケーションベンダー各社が「メタバース」の市場に参入している。メタバースでのビジネスコミュニケーションは今後の主流になるのか。
Meta(旧社名Facebook)は、仮想的な3次元(3D)空間である「メタバース」がこれからの働き方を変えるという展望を描く。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用したコラボレーションビジネスの業界は、同社の他にも競合がひしめいている。前編「『ビジネス用メタバース』を始めたFacebook改めMetaは、何を考えているのか?」、中編「Facebook改めMetaが語る『メタバースで働く魅力』と、懸念が残るプライバシー問題」に続き、後編となる本稿は、ビジネス利用を想定した代表的なメタバースツールを紹介する。
2021年8月19日(米国時間)、Meta傘下のFacebook TechnologiesがVRコラボレーション製品「Horizon Workrooms」のβ版を公開した。Horizon Workroomsは同社のVRデバイス「Oculus Quest 2」で実行でき、仮想空間にアバターが集まって会議やプレゼンテーションなどさまざまな共同作業ができる。Oculus Quest 2の法人向けモデルは799ドルだ。同社公式サイトにおける一般消費者向けモデルの米国価格は299ドルからとなっている(国内価格は128GBモデルで税込み3万7180円から)。Horizon Workroomsのβ版は無料でダウンロードできる。
MetaのCEOマーク・ザッカーバーグ氏によると、Horizon Workroomsを利用する企業は2021年中に自社のロゴとポスターで空間をカスタマイズできるようになる。ファイル共有サービス「Dropbox」やビジネスチャットツール「Slack」といった2次元(2D)アプリケーションも同社のVRストアで提供する計画だ。これにより、Oculus Quest 2を使ってVR空間内で作業を確認できるようになる。
他社もそれぞれの仮想コラボレーション製品を開発している。Microsoftは2021年、AR/VRコラボレーションサービス「Mesh」のプレビュー版を提供開始した。Cisco Systemsは2021年10月に、AR会議製品「Webex Hologram」を発表。リアルな3D映像で人物を表現し、互いのつながりの感覚を高めるという。通信事業者Verizon傘下のBlue Jeans Networkは、2022年に仮想ワークスペース製品を販売する計画がある。調査会社IDCのアナリスト、ウェイン・カーツマン氏は「これらはエンゲージメント(企業と顧客とのつながり)に関する近未来の話の始まりにすぎない」と語る。
メタバースが今すぐWeb会議に取って代わるわけではない。調査会社ZK Researchの創業者、ズース・ケラバラ氏は「メタバースが役立つ場所はあるが、業界による」と指摘する。メタバースは、3Dモデルを使った設計作業や、手術中のエックス線画像の参照など、特定の用途に適しているとケラバラ氏は説明する。
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