NVMe接続SSDは「PCIe 4.0」のストレージインタフェースが主流となりつつある中で、キオクシアは「PCIe 5.0」に準拠し、フォームファクタに「EDSFF E3.S」を採用した製品を発表した。法人向けSSDはどう変わるのか。
キオクシアが2021年11月に発表した法人向けのNVMe(Non-Volatile Memory Express)接続SSD「KIOXIA CD7 E3.S」は、ストレージインタフェース規格「PCI express 5.0」(以下、PCIe 5.0)を採用した。ただし同社がアピールするのは、PCIe 5.0を採用したことだけではない。同社はフォームファクタに「EDSFF E3.S」(EDSFF:Enterprise and Data Center SSD Form Factor)を採用したことと、「PCI express 4.0」(以下、PCIe 4.0)接続の強化についても強調する。
PCIe 4.0に関しては、データの通り道であるレーンが4個の「x4」用に最適化することをキオクシアは重視する。「PCIe 4.0 x4が市場に浸透している現状を理解している」と、同社の法人向けSSD部門のシニアプロダクトマネジャー、イリア・チェルカソフ氏は説明する。PCIe 4.0とPCIe 5.0、フォームファクタについて同社はどう見ているのか。
「PCIe 4.0を使ったNVMe接続SSDは、既存の業務アプリケーションで十二分のパフォーマンスを発揮している」とチェルカソフ氏は言う。KIOXIA CD7 E3.Sは、まずはこのPCIe 4.0のNVMe接続SSD市場で戦うことを想定している。だが将来的には、NVMe接続SSDのストレージインタフェースではPCIe 5.0が主流になる可能性が高い。「KIOXIA CD7 E3.SはNVMe接続SSDとしては初めてPCIe 5.0を採用した。PCIe 5.0のNVMe接続SSDの必要性が高まれば、当社は競合他社よりも優位な立場になる」と同氏は話す。
つまりKIOXIA CD7 E3.Sは、キオクシアにとってはPCIe 5.0の市場に備えつつ、PCIe 4.0のNVMe接続SSDとしても最新タイプの製品という位置付けだ。キオクシアは、PCIe 4.0のNVMe接続SSDを市場投入する際も、競合他社に先んじることを重視した。「新技術を使った製品を早期投入すると、競合他社は当社の製品をまず確認して、それに応じた打ち手を出す」とチェルカソフ氏は説明する。
KIOXIA CD7 E3.Sはデータセンター向けのSSDだ。「ハイエンドの法人向け用途ではなく、汎用(はんよう)クラスの法人向けSSDを想定している」とチェルカソフ氏は説明する。汎用ではあるが、半導体の保護など信頼性においては法人向けの特性を備えているという。
フォームファクタとして、KIOXIA CD7 E3.SはEDSFF E3.Sを採用している。このフォームファクタのサイズは、2.5型のSSDを代替できる。容量は「1.92TB」「3.84TB」「7.68TB」の3タイプを用意している。
SSDの進化においては、PCIe接続を左右するコネクターにも注目すべきだ。「信号の完全性という点では、NVMe接続が一般的に使用しているコネクター『SFF-8639』よりもEDSFFのコネクターの方が堅牢(けんろう)だ」とチェルカソフ氏は言う。同氏によれば、フォームファクタ「U.2」「U.3」のSSDが使用するSFF-8639は、PCIe 5.0の最高速度でデータを転送するのは難しい。「EDSFFのコネクターであれば問題ない」と同氏は話す。
ITベンダーSuper Micro Computerでサーバ分野のシニアディレクターを務めるマイク・スクライバー氏は同氏のブログで、「EDSFFの新しいコネクターはPCIe 5.0とその次世代『PCI express 6.0』(PCIe 6.0)のアーキテクチャを前提に設計されている」と説明する。
EDSFFを含めさまざまなSSDのフォームファクタが登場している。調査会社Coughlin Associatesのプレジデント、トム・カフリン氏は、SSDのフォームファクタはHDDほど厳格に設計しなくてもよいと主張する。「可動式の磁気ヘッドやディスクを備えるHDDのような部品はSSDにはない。SSDは標準サイズのラックに搭載可能な状態を維持しつつ、フォームファクタの設計の自由度を高めることができる」とカフリン氏は話す。
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