企業が保管するデータ量が増大するにつれて、大容量ストレージへのニーズが強まっている。こうした中、Seagate Technologyは同社製品としては最大の20TBのHDDを販売開始した。20TBを実現した仕組みとは。
Seagate Technologyは法人用ストレージ向けHDDの「Exos X」シリーズと、NAS(ネットワーク接続ストレージ)向けHDDの「IronWolf Pro」シリーズの両方で、20TB製品の販売を開始した。これらのHDDは、データの記録密度を高める「SMR」(Shingled Magnetic Recording:シングル磁気記録方式)を採用していない。従来型の「CMR」(Conventional Magnetic Recording:従来型磁気記録方式)を採用しつつ、より大容量のHDDを実現している。
Seagate Technologyが販売を開始した2種類のHDD、「Exos X20」「IronWolf Pro 20TB」は、いずれもハードウェアとしては同等でヘリウム充塡(じゅうてん)ドライブだという。CMRを採用しつつ、プラッタ(円盤状の記録媒体)を9枚から10枚に増やすことで20TBを実現した。
「2021年に世界で生成されるデータ量は約35Z(ゼタ)Bに達する。これが2025年までに4倍に増加するという予測もある」と、Seagate Technologyのプリンシパルプロダクトマネジャーを務めるシナン・サヒン氏は言う。こうした中で、より大容量のストレージが求められている。
調査会社IDCでストレージ分野のリサーチディレクターを務めるエド・バーンズ氏は「ユーザー企業もベンダーも、大容量ストレージに注目している」と述べる。ユーザー企業はデータ保有量と総所有コストの観点で大容量ストレージを求めている。例えば10TBのHDDを20TBの製品に置き換えれば、2倍のデータ量を同じラックスペースで保管できる。これによってデータ保管のコスト効率が高まる。
ベンダーは同じ筐体(きょうたい)で提供できるストレージ容量が増大すれば、製品の利益率を高めることができるとともに、より大容量のストレージを求めるユーザー企業のニーズを満たすことができる。
ペタバイト規模でストレージ容量の増加を求める機運は高まっている。バーンズ氏は「クラウドベンダーはHDDベンダーと密接に提携し、プラッタ数を増やしてHDDの容量を増やす新技術の開発に力を入れている」と言う。
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