「サービスメッシュ」を構築する場合、クラウドベンダーなどのサポート付きのツールを使うことも、OSSを使うこともできる。どのような観点で利用するツールを決めればよいのか。
マイクロサービスアーキテクチャ(複数の小さなサービスで構成するアプリケーションアーキテクチャ)用の通信制御の仕組みを提供する「サービスメッシュ」は、オープンソースソフトウェア(OSS)が支配的だ。サービスメッシュを構築する企業は、OSSにサポートを組み合わせたパッケージ型のツールを利用することもあるし、独自にOSSを活用することもある。中編「開発力のある企業はなぜ『OSSのサービスメッシュ』を選択するのか?」は、OSSを選択する企業がどのような点に価値を見いだしているのかを紹介した。
サポート付きのツールとしては、主要クラウドベンダーが提供するサービスメッシュも選択肢になる。クラウドベンダーの独自ツールはほとんどの場合、「Istio」や「Linkerd」などのOSSをベースにしている。ある条件を満たす企業にとっては、クラウドベンダーのサービスメッシュが最適な選択肢になる可能性が高い。
クラウドベンダーのサービスメッシュにはサポートや付加機能が付いてくるので、それを利用する企業は構築や運用の労力を軽減できる。こうしたクラウドベンダーのサービスメッシュを選択することが妥当なのは、サービスメッシュを単一のクラウドサービスだけで運用する場合だ。反対に、サービスメッシュを複数のクラウドサービスや自社設備にまで広げる場合は適さない可能性がある。
日に日にクラウドサービスの複雑さは増している。それに伴いOSSを使ってサービスメッシュを独自に構築することも難しくなるので、サポートや付加機能付きのツールを選択しがちだ。ただしOSSを使うことが、より良い選択になる場合もある。
どのようなツールを選ぶべきかは、最終的には自社が独自にOSSを使ったサービスメッシュの構築に乗り出しているかどうかで決まる。もし独自のOSS利用ができているのであれば、OSSのサービスメッシュは賢い選択だと言える。そうでなければ、ベンダーからのサポートが付属するツールを使うことが賢い選択になる可能性がある。
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