業界団体Wi-Fi Allianceは「Wi-Fi 6」の改善に取り組んでいる。他にも関連技術が登場し、無線LANが快適なテレワークを実現しやすくなりつつある。重要な技術を整理しよう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を機に、標準規格「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)準拠の無線LAN製品の普及が進んだ。Wi-Fi 6が実現する高速通信により、テレワークがしやすくなるからだ。中編「テレワークを続けたくなる『無線LAN』の条件 『Wi-Fi 6』は必需品か」に続く後編となる本稿は、Wi-Fi 6の関連技術である「MU-MIMO」や「Wi-Fi EasyMesh」を活用するメリットを紹介する。
2022年1月5日(米国時間)、業界団体Wi-Fi Allianceは無線LANの製品認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 6 Release 2」を発表した。Wi-Fi Allianceによると、Wi-Fi 6の機能を拡充させるWi-Fi CERTIFIED 6 Release 2は、IoT(モノのインターネット)活用に取り組んでいるあらゆる業種の企業にメリットをもたらす。
Wi-Fi 6 CERTIFIED Release 2により、Wi-Fi 6はデータ伝送を高速化する技術「Multi User MIMO」(MU-MIMO)を使えるようになった。これにより、テレワーカーはWeb会議への参加や大容量データのアップロードといった、帯域幅を消費しやすい作業がしやすくなる。Wi-Fi Allianceマーケティング担当シニアバイスプレジデントのケビン・ロビンソン氏は、「MU-MIMOによって複数のデバイスで同時転送ができるため、全体的に通信可能なデータの容量が増える」と説明する。
ロビンソン氏によれば、Wi-Fi 6はこれまでMU-MIMOの「ダウンリンク」(下り)に準拠していたが、Wi-Fi CERTIFIED 6 Release 2では「アップリンク」(上り)にも準拠する。ダウンリンクは「無線LANアクセスポイント(AP)が送信側で、クライアントデバイスが受信側となる場合のデータ伝送」、アップリンクは「クライアントデバイスが送信側で、APが受信側となる場合のデータ伝送」を指す。
Wi-Fi Allianceが提唱する「Wi-Fi EasyMesh」は、複数のAPを連携させてメッシュ(網目)状のネットワークを構築する技術だ。Wi-Fi 6準拠の無線LAN製品の間で、Wi-Fi EasyMeshの実装が進みつつある。
オフィスや住宅には、AP(AP機能を搭載した無線LANルーターを含む)に近くて信号が強い場所と、APから離れていて信号が弱い場所がある。Wi-Fi EasyMeshは信号を全てのAPに均等に行き渡らせることで、エンドユーザーがどこにいても滞りのないネットワーク接続ができるようにする。
パンデミックが収束したら、オフィス出勤とテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が広がると業界専門家はみている。無線LANは進化を遂げ、企業が場所を問わない働き方に取り組みやすくなるように、ネットワークの観点から支援している。従業員は自宅でも会社と同様の安定した高速通信ができるネットワークを求め、“現場”からネットワーク構築の在り方の進展を促している。
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