テレワーク中の従業員が抱く不満を解消するには、従業員の自宅にどのような無線LANを配備する必要があるのか。専門家の話を基に要件を探る。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)でテレワークが普及し、自宅でも安定した高速通信ができる無線LANの需要が高まっている。テレワークに適した無線LANを実現するには、どうすればよいのか。前編「『無線LAN』がコロナ禍で求められ、そして嫌われる理由」に続く中編となる本稿は、テレワークに適した無線LANの要件を探る。
企業はテレワークの導入とともに、従業員が安定した無線LANを利用できるようにし、利用状況を管理する必要があった。それは当然、簡単なことではなかった。企業の規模によっては、何百人、何千人もの従業員がテレワークの対象になっていたからだ。そうした中、企業は自宅のネットワーク費用の手当てを支給したり、役職や仕事内容に応じて特定の従業員に高速の無線LANを提供したりするなど、さまざまな取り組みをしてきた。
業界団体Wi-Fi Allianceマーケティング担当シニアバイスプレジデントのケビン・ロビンソン氏によると、テレワーク中の従業員にはレイテンシ(通信の遅延時間)の低い無線LANが欠かせない。Web会議に参加したり、社内データにアクセスしたりする際に、ストレスなく仕事ができるようにするためだ。他にもテレワークに適した無線LANの要件として、ロビンソン氏はデータ送信が高速なことに加え、PCやスマートフォンといった端末の種類に合わせた通信の制御ができることを挙げる。
無線LANの接続がうまくいかない理由として、1つの無線LANアクセスポイント(AP)に接続する端末数の制限超過や無線LANルーターの故障といった問題がある。従業員が使用する「無線LANの種類」に原因がある可能性もある。調査会社ABI Researchによれば、自宅の無線LANに不満を持つ従業員の大半は、Wi-Fi 6より古い無線LAN規格を使っている。
Wi-Fi Allianceのロビンソン氏は「テレワークのニーズを満たすためにWi-Fi 6は十分な機能を備えている」と説明する。ネットワークベンダー各社は、自宅でもオフィスと同様のネットワーク接続ができる「家庭向けエンタープライズ無線LAN」の提供に力を入れている。「企業向けベンダーが家庭向け分野に進出したり、家庭向けベンダーが製品を強化したりするなど、市場の動きが活発だ」と同氏は述べる。
パンデミックを機に、Wi-Fi 6の普及が加速したと専門家はみる。ロビンソン氏によると、通信サービス事業者やネットワークデバイスベンダー、ユーザー企業はWi-Fi 6を活用し、テレワーク用の高速無線LANの実現に取り組んでいる。遠隔から社内ネットワークに自動接続できる仕組みを従業員に提供している企業もある。
後編は、無線LANを高速化する技術「Multi User MIMO」(MU-MIMO)や、メッシュ(網目)状のネットワークを構築する方式「Wi-Fi EasyMesh」によるメリットを紹介する。
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