ファイル同期・共有サービス「Box」とビジネスチャットツール「Slack」を連携させるアプリケーション「Box for Slack」(「Slack用Boxアプリ」とも呼ばれる)がアップデートし、両者の連携がより密接になった。例えばユーザーがSlackにファイルをアップロードすると、Box for Slackはそのファイルを自動的にBoxにアップロードする。アップロードしたファイルは、社内外でのコンテンツ共有に関するBoxのセキュリティポリシーを維持できる。
2021年にSlack Technologiesを277億ドルで買収したsalesforce.com(以下、Salesforce)は、創業期のBox社に出資するなど同社との提携を続けている。Box for Slackの新しい連携機能によって、Boxの機能がSlackにより深く組み込まれた。
「SlackがSalesforceの傘下に入り、われわれはSlackのサービスとの相互運用性を高め、同社とのパートナーシップを強化した」と、Box社の創業者でCEOのアーロン・レビー氏は語る。「Salesforceがエンタープライズ市場で大きな勢力となっているのは明らかだ。SlackはBoxに新たな用途を提供する」(レビー氏)
例えば「Slack Connect」(Slackコネクト)は、Salesforceの顧客関係管理(CRM)・営業支援(SFA)ツール「Sales Cloud」ユーザーにとっての定番ツールになる可能性がある。Slackコネクトは、Slackユーザーが社外の人とチャットをしたり、ファイルを共有したりできるようにする機能だ。営業チームはSlackコネクトを使って顧客とやりとりし、販売成果につなげることができる。
理屈の上では、営業担当者などの従業員がSlackコネクトを使うことで、知的財産や契約を社内外の間違った相手と共有してしまうリスクがある。Box for Slackの新機能は、こうした事態を防ぐのに役立つ。Slackを通過するファイルに対して、ユーザー定義によるBoxのセキュリティポリシーとアクセス制御機能を適用できるからだ。
調査会社Deep Analysisの創業者アラン・ペルズシャープ氏は「Slackユーザー同士でファイルを共有できるだけでなく、Boxにおけるセキュリティやコンプライアンスのレベルを維持できる」と、Box for Slackの新機能のメリットを説明する。「Boxの機能をSlackのコラボレーション環境で利用できるわけだ。これは極めて強力な連携だと言える」(ペルズシャープ氏)
Box社は、BoxとMicrosoftのユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」でも同様の連携を実現しており、ユーザーはMicrosoft Teamsの既定のファイル保管先としてBoxを指定できる。この事実は、Microsoftがオープンな姿勢に転換したことを示している。これまでのMicrosoftは通常、同社のアプリケーションのほとんどにおいて「SharePoint」や「OneDrive」によるデータの保存、同期、共有を強く推奨してきた。「Microsoftは、Boxが広く普及しており、有力な選択肢であることを認識し、Boxとうまくやっていこうというスタンスになった」と、ペルズシャープ氏は説明する。
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