企業がCDNを使う理由として、まずユーザー体験の向上を挙げることができる。機能が多様化する中、CDNのメリットはそれにとどまらなくなってきた。CDNについて他に何を知っておくべきなのか。
2010年代後半から「コンテンツデリバリーネットワーク」(CDN)の利用が急速に拡大した。動画がWebサイトの素材やビジネスツールとして使われることが一般的になったことや、クラウドサービスの利用拡大のトレンドがあり、それが企業のCDN利用を広げる結果になった。CDNの中には、コンテンツ配信だけではなく、データ保管用のストレージなどクラウドサービスに競合する機能を併せて提供するサービスも出ている。
CDNの仕組みについては第3回「Webコンテンツを『CDN』がサクサク高速配信する仕組み」で紹介した。CDNを使うメリットは単にコンテンツ配信を高速にするだけではない。CDNの多機能化とともに企業が期待できるメリットが広がっている。
企業はCDNを利用することで、コンテンツを配信するために必要な、サーバやネットワークをはじめとした自社インフラへの投資を抑制することが可能だ。これは設備投資額の抑制という目先の利益だけではなく、さまざまな波及効果をもたらす。自社データセンターに設置するサーバ数を抑制すれば、施設の設置スペースに加え、サーバ稼働やサーバ冷却の電力消費を抑制することもできる。
CDNは共通して、静的コンテンツ(常に内容が変わらないコンテンツ)の配信に加え、動画のストリーミング配信やオンデマンド配信の機能を提供する。これらの機能だけでも、企業がCDNを必要とする十分な理由になる。企業はこれらのCDNの機能を使うことで、エンドユーザーへのレスポンスを短縮し、ユーザー体験の向上につなげることができるからだ。
そうした中核的な配信機能に加えて、CDNはさらなるメリットを追求している。例えばCDNの中には、画像の圧縮率や解像度を最適化する機能を提供しているものがある。この機能があると、デスクトップPCやスマートフォンなど、エンドユーザーが使用するデバイスに応じて最適な画像を動的に配信可能になる。
セキュリティも近年CDNベンダーが注力する分野の一つだ。CDNが提供するセキュリティ機能としては、DDoS攻撃(分散型サービス妨害)への防御、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)、botを使った攻撃からの保護などがある。こうしたセキュリティ機能を備えるCDNのメリットは、オンプレミスインフラにおけるセキュリティ関連の投資を抑制できることだ。
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