GoogleはPostgreSQL互換のクラウドデータベース「AlloyDB」を発表した。クラウドデータベース「Cloud Spanner」との違いは何か。どのような用途に最適なのか。
GoogleはオープンソースのRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)「PostgreSQL」と互換性を持つ、フルマネージド型データベースサービス「AlloyDB for PostgreSQL」(AlloyDB)のプレビュー版を発表した。同サービスは標準的なPostgreSQLと比べてOLTP(オンライントランザクション処理)が4倍高速、分析クエリが最大で100倍高速になることが大きな特徴となっている。PostgreSQLと互換性があるため、PostgreSQLを使ったアプリケーションはコードを変更せずにAlloyDBに移行できる。
AlloyDBの開発背景には、オープンソースデータベースを互換する商用データベースのニーズがある。組織はクラウドインフラでデータベースをモダナイゼーション(最新化)する際、ベンダーロックインや高額なライセンス費用が発生する問題を回避したいと考え、PostgreSQLのようなオープンソースデータベースの利用を希望する場合がある。しかしオープンソースデータベースは、組織が利用してきた商用データベースにおけるパフォーマンスや可用性などの機能要件を満たせず、移行が困難な場合があった。
AlloyDBはオープンソースデータベースの課題を解消するための要素を組み込んでいる。メンテナンス作業を含めた可用性は99.99%を確保する他、コンピューティングとストレージを分離した設計を採用することで個々に拡張可能にした。機械学習のAI(人工知能)技術を使い、メモリ容量の変更といった管理作業を自動化できることも特徴の一つだ。
Googleが提供するPostgreSQL互換のRDBMSには、AlloyDBの他に「Cloud Spanner」がある。両サービスはそれぞれどのような用途に向いているのか。
グーグル・クラウド・ジャパンの寳野雄太氏(ソリューション&テクノロジー部門 技術部長)によると、AlloyDBはオンライン分析(リアルタイムのデータ分析)に最適だという。AlloyDBは分析を高速化する機能「カラム型アクセラレータ」を組み込んでおり、高速に分析クエリを実行できる。
一方Cloud Spannerは、東京と大阪間のようにリージョン(データセンターが存在する地域)をまたいでレプリケーション(データの複製)を実施したい場合に適しているという。Cloud Spannerは複数のリージョンにまたがってシステムを配置するマルチリージョン構成ができるためだ。一方のAlloyDBは複数のゾーン(リージョンを細分化した単位)にリソースを分散させるマルチゾーン構成が可能だが、マルチリージョン構成はできない。他にも、書き込み性能を無制限に水平スケール(スケールアウト)したい場合にもCloud Spannerが適しているという。
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