サステナブルは苦難の道? 英国が踏み込む“根深い問題”とは?各業界が取り組むサステナビリティ【第2回】

各業界で温室効果ガス削減への動きが強まり、オフィスビルなど建物の運用に関してもエネルギー消費の効率化が注目されている。環境負荷低減に必要なのは何か。

2022年08月09日 05時00分 公開
[SA MathiesonTechTarget]

 英国政府は、温室効果ガス排出量の削減と、大気中のCO2(二酸化炭素)除去により2050年までのネットゼロ(温室効果ガス排出量が実質的にゼロの状態)の達成を法制化した。英国ではこの目標を2050年よりも前に達成しようと取り組む動きが広がっている。通信会社BTや、放送局のSky、さまざまな地方自治体が、2030年までのネットゼロ達成を掲げる。

 新たな取り組みが目立っているのは建築だ。建築資源効率分析ソフトベンダーBuro Happoldは2030年までに同社が手掛ける全ての建築物をネットゼロ設計にすると計画している。建築資源効率分析ソフトベンダーIntegrated Environmental Solutions(IES)のCTO(最高技術責任者)、クレイグ・ウィートリー氏は次のように説明する。「2006年のEU指令によりエネルギー消費の抑制について数値目標が厳しくなった。その影響で、ビルオーナーは長らくエネルギー効率の優れた設計に注目してきた」

サステナブルなビルには何が求められるのか? “根深い問題”に挑む

 英国における建築業界の関心は、エネルギーの運用効率に移りつつある。この背景にあるのは、建物のエネルギー効率を評価する制度「National Australian Built Environment Rating System」(NABERS)だ。同制度は、1998年よりオーストラリアにおいて国主導で運用されてきた。2020年に英国も「NABERS UK」として運用を開始した。

 Nabers UKの評価資格を持つ一社が、エネルギー消費やCO2排出の最適化に取り組むEP&T Globalだ。同社はネットワークに接続したスマートメーターを各ビルに数百台設置し、15分ごとにデータを取得するサービスを提供している。取得したデータは機械学習で処理し、必要に応じて警告や推奨事項を通知する。

 EP&T Globalの英国事業責任者サム・グッダー氏によると、何らかの推奨事項が発生した場合、同社のエンジニアから顧客へ通知する。改善に向けた取り組みは簡単には進まない。ビルの運営者は第三者から直接管理されるのを嫌う傾向がある上、推奨事項にはビル利用者の行動変容を要求するものもあるからだ。「サービスを成功させるためには、さまざまな人を取り組みに巻き込まなければならない」と同氏は語る。

 このようなサービスを活用することで、建物のエネルギー消費は平均で5分の1に削減できるという。グッダー氏は「微調整の積み重ねが重要だ」と話す。同氏によると、建物のネットゼロ実現には新しい冷暖房と、交換が容易なモジュール式の機器設計が必要だという。

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