環境保護に関する事業を手掛けるCarbon Lighthouseは、AWSを使って自社で構築したデータ分析システムを、顧客企業のエネルギー消費量の削減に役立てている。同社はどのようにAWSを活用しているのか。
Carbon Lighthouseは商工業ビルを保有する顧客企業に向けて、建物のエネルギー消費を抑えて光熱費を削減するためのサービスを提供している。エネルギー消費量を削減する方法とそのコスト削減効果を計算するためにCarbon Lighthouseが開発したのが、「CLUES」(Carbon Lighthouse Unified Engineering System)というデータ分析システムだ。CLUESは顧客企業の不動産に取り付けたセンサーから気温やエネルギーの利用状況などのデータをリアルタイムに収集し、分析する。このCLUESを支えているのがAWSのサービス群だ。前編「約300億円の光熱費を削減 AWS活用企業の『データ駆動型省エネ策』とは?」に続く本稿は、CLUESの仕組みと同システムがもたらす効果を取り上げる。
Carbon Lighthouseは自社のサーバとして、Amazon Web Services(AWS)の仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)を使う。ビルの住所や占有面積などのメタデータの格納には、リレーショナルデータベースサービスの「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)を利用。現地の建物で収集されるデータなどの時系列データの取得と格納には、ストレージサービスの「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)を採用した。データの取得と操作にはNoSQLデータベースサービスの「Amazon DynamoDB」を使用する。
顧客企業がCarbon Lighthouseと契約すると、Carbon Lighthouseからセンサーが送られる。それをビルに取り付けることで、センサーからCLUESへのデータ送信が始まる。CLUESからの提案は、「夜間に照明やエアコンをオフにするように」といった単純なものではなく、もっと複雑だ。例えば特定の時間帯またはビル内の温度が一定レベルに達したときに、特定のバルブを自動的に開閉するよう制御システムに指示する。
ミルスタイン氏によると、気候変動への影響を最小限に抑えるために、絶えず建物の状態を最適化することがCLUESの目的だ。「窓の交換は考えない。クレーンやボイラーも考えない。既存の機器や習慣をわずかに改善することを中心に考える」(同氏)。こうした取り組みによって、顧客企業は短期間で二酸化炭素排出量と光熱費を削減できるという。
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