クラウドベンダーのAlibaba Cloudが発表した「Wuying Cloudbook」(無影クラウドブック)は、クラウドサービスではなく物理的なノートPCだ。なぜAlibaba CloudがノートPCを作ったのか。Wuying Cloudbookの特徴とは。
中国を拠点とするクラウドベンダーのAlibaba Cloud(アリババクラウド)は、2022年11月に「Wuying Cloudbook」(無影クラウドブック)を発表した。14型のタッチディスプレイを搭載した、厚さ13.9ミリのノートPCだ。
Wuying Cloudbookはクラウドサービスの活用により、テレワーク中のエンドユーザーが、外出先で計算負荷の高いアプリケーションを実行しやすくする。Alibaba CloudのDaaS(Desktop as a Service)製品/サービス群「Wuying」(無影)の一製品という位置付けだ。エンドユーザーはWuying Cloudbookを通して、仮想デスクトップやストレージをクラウドサービスとして利用する。
Alibaba Cloudは「Wuying Cloudbookがリアルタイムのデータ処理を実現する」と述べる。Wuying Cloudbookはクラウドサービスを利用することで、動画のレンダリングなどの大容量データ処理を実行する際の、処理速度の低下を防ぐという。
Wuying Cloudbookは、必要最小限のリソースのみを搭載し、基本的には内部にデータを保持しないシンクライアントデバイスだ。ローカルに保存したデータの損失リスクを抑えられる。仮想デスクトップを使うことで、Microsoftの「Windows」やGoogleの「Android」など、複数のOSを同一デバイスで同時に利用することが可能だ。
「Wuying Cloudbookは、働く場所を拡張する」。Alibaba Cloudのシニアリサーチャー兼インフラ製品担当ゼネラルマネジャーであるジャンウェイ・ジャン氏は、こう話す。同社は2022年3月、Wuyingの一製品として、手のひらサイズのデスクトップPC「Wuying Cloud Computer」(無影クラウド・コンピュータ)をシンガポールで発売済みだ。Wuying Cloudbookは、Wuying Cloud Computer」と同様のメリットを外出先でも享受しやすくする。
後編はWuying Cloudbookの用途を、電気自動車(EV)会社IM Motorsの先行導入事例を基に説明する。
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