パンデミックが発生して以降、遠隔で共同作業をすることは珍しくなくなった。大容量のファイルを扱う必要のある映画業界は、どのような手法を取り入れたのか。
さまざまな業界で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)発生以降、仕事の仕方が変わった。映画業界も例外ではなかった。ホラー系の映画監督であるダミアン・レベック氏は「過去2年間は“ノーマル”がなかった」と言い、「映画製作はプロセスが一変した」と振り返る。変える必要があったのは、大容量データの保管や移動の方法だ。
映画業界でも遠隔での共同作業が一般的になりつつある。レベック氏は映画の最新作を制作に当たり、映像関連の機材やソフトウェアを提供するベンダーBlackmagic Designのストレージ製品「Blackmagic Cloud Store」を採用した。
Blackmagic Cloud Storeの中核は、ストレージインタフェース「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)で接続するSSD搭載のNAS(ネットワーク接続ストレージ)だ。これ以外にも、遠隔での共同作業を支援するために以下の機能を備える。
映像編集に関するソフトウェアを同梱していることもBlackmagic Cloud Storeの特徴だ。Blackmagic Designの主要顧客が利用することを想定したストレージ製品となっている。
調査会社Evaluator Groupのアナリストであるデイブ・ラフォ氏によれば、Blackmagic Cloud Storeは、NasuniやCTERA Networks、Panzuraなどが提供するファイル共有システムと同じ製品カテゴリーに入り、この製品カテゴリーにおける主要製品の一つだ。Blackmagic Cloud Storeはクラウドストレージではなく、可搬のオンプレミスストレージを提供することが特徴だと言える。
ラフォ氏によると以下の機能は企業向けのストレージ製品が備えていることが珍しくないものの、Blackmagic Cloud Storeでは利用できない。
ただしBlackmagic Cloud StoreはSSDを搭載している他、耐障害性を高めるためにRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)機能を搭載している。ファイル共有サービスとの同期も可能だ。これらは映像編集用のストレージには欠かせない特徴だと言える。
Blackmagic Cloud Storeには容量が20TB、80TB、320TBのモデルがある。これらのモデルの他、「Blackmagic Cloud Store Mini」や「Blackmagic Cloud Pod」など、より小型のNASを併用することができる。
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