企業がAI技術を活用する目的は、さまざまだ。「ESG」(環境、社会、ガバナンス)分野でAI技術を活用する企業は、どれくらいあるのか。IBMによる調査結果から探る。
企業の35%が人工知能(AI)技術をビジネスに活用しており、42%が現在のアプリケーションやプロセスへAI技術を組み込もうとしている――。これは、世界のAI技術導入状況をまとめたIBMの調査レポート「IBM Global AI Adoption Index 2022」が明らかにした事実だ。
レポートによると、世界中の企業がAI技術を利用して、「ESG」(環境、社会、ガバナンス)の取り組みを推進している。AI技術を既に利用している企業のうち64%が、ESG関連の取り組みを加速させるためにAI技術を活用している。レポートは、調査会社Morning ConsultがIBMの委託により、世界中の7502社の企業を対象に実施した調査に基づく。
「企業は、自社ビジネスの環境への影響を理解するために、AI技術を利用し始めている」と、コンサルティング企業Ernst & YoungのグローバルAIコンサルティングリーダー、ダン・ディアシオ氏は説明する。具体的には、企業は自社の二酸化炭素(CO2)排出量やエネルギー消費量といった環境に関するデータを測定、分析する手段として、AI技術を役立てている。
環境に関するデータを手に入れることで、企業はビジネスの変更が環境にどう影響するのかを分析するためのモデルを構築しやすくなる。AI技術は、ビジネスに関する意思決定の際に、経営陣にさらなる重要な情報をもたらすことになる。「最適な選択肢の特定が、AI技術の本当の用途だ」とディアシオ氏は言う。
次回は、企業がAI技術を使ってESGの取り組みを進めるメリットを整理する。
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