「AI技術には多くの誇大広告がある」――。こうした持論を展開するSchneider Electricのある幹部は、AI技術を使って同社が進める“ある取り組み”を「非常に実用的だ」と評価する。それは何なのか。
地球を取り巻く過去と現在の状況が、現在と未来の環境にどのような影響を与えるのか――。それを理解するために、研究者や環境保護団体はさまざまなITを駆使してきた。こうした「ESG」(環境、社会、ガバナンス)の分野で、活用が急速に広がっているITが、人工知能(AI)技術だ。
気候変動に伴う海面上昇といった、環境の変化に伴う影響の予測にAI技術を生かす動きがある。環境の悪化に対策を講じることで、どのように、どの程度まで環境を改善できるかの研究にもAI技術が活躍している。
重電メーカーのSchneider Electricは、フランスのグルノーブルにある旗艦ビル「IntenCity」の管理にAI技術を導入した。同社はAI技術により、気温に応じてIntenCity敷地内の太陽エネルギー供給を調整できるようにしている。
Schneider Electricは、システムの問題を検知して修正できるAIコンポーネントを、独自の施設管理システムに搭載している。これにより「トラックを走らせて排出ガスを発生させることなく、インテリジェントにビルを管理できる」と、同社のデジタルエネルギー担当エグゼクティブバイスプレジデント、マニッシュ・クマール氏は述べる。
「AI技術には多くの誇大広告がある」とクマール氏は言い切る。その上で、IntenCityは「AI技術が問題を解決する、非常に実用的な例だ」と同氏は主張する。
次回はESG分野におけるAI技術の用途に関する、業種ごとの違いに迫る。
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