「IPアドレスの枯渇なんか関係ない」と企業が考える訳 “IPv6必要説”はどこに?じっくり考察する「IPアドレス問題」【第4回】

IPアドレスの枯渇問題が話題になってしばらくたった2020年代。企業はまだ問題なく「IPv4」のIPアドレスを使っている。企業はどのような状況にあり、今後どのような判断を求められるのか。

2023年03月27日 05時00分 公開
[Andrew FroehlichTechTarget]

 インターネット接続に欠かせない「IPアドレス」の数には上限がある。IPアドレスが枯渇するという問題を受けて、IP(インターネットプロトコル)のバージョン「IPv4」の次世代である「IPv6」が2010年ごろから話題になり、それからしばらくたった。企業は依然として問題なくIPv4のIPアドレス(IPv4アドレス)を使い、問題は棚上げだ。どのような状況なのか。

「IPv4アドレス」を使い続けるのは不正解?

 IPv4アドレスが枯渇するという問題について、インターネットが普及し始めたころから専門家は議論していた。IPv4アドレスの割り当て可能な数は約40億個しかないため、枯渇が問題になるのは明らかだった。IPv4アドレスとIPv6アドレスの両方が使われる中でも、どちらを使うべきかという議論は続いている。

 北米でIPアドレスを割り当てているAmerican Registry for Internet Numbers(ARIN)のように、企業に対してIPv6への移行を推奨している団体もある。そうした働き掛けの目的は、IPv4アドレスの完全枯渇を防ぐことだ。

 ほとんどの企業はIPv4アドレスを重視している。企業のネットワーク設計において、依然としてIPv4アドレスは欠かせない構成要素となっているからだ。何より、企業のネットワーク技術者はIPv4アドレスの運用に慣れている。

 NAT(ネットワークアドレス変換)を使うことで自組織内のプライベートIPアドレス(特定のネットワーク内だけで使用するIPアドレス)を自由に割り当てることができるため、企業はIPv4アドレスの枯渇問題をそれほど気にしていない。プライベートIPアドレスがあれば、グローバルIPアドレス(インターネット接続時に使用するIPアドレス)が重複する問題を気にせずに済む。

 ネットワーク運用をより簡単にするために、NATを使用しないことを検討する企業もある。そのような企業は、IPアドレスが枯渇する懸念がなく、暗号化の機能が実装されていたり、通信の劣化しにくさが見込めたりするIPv6を選ぶと考えられる。現状の運用ではなくこの先も考えるのであれば、IPv6が「将来性のある選択肢」になる可能性はある。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news121.jpg

「ファクトチェック廃止」の波紋 Metaにこれから起きること
Metaがファクトチェックの廃止など、コンテンツに関するいくつかの重要なルール変更を行...

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年1月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news041.jpg

「非常時にピザ1枚無料」のデータがドミノ・ピザのマーケティングに生む好循環とは? CMOに聞く
2024年10月にDomino'sのチーフブランドオフィサーからエグゼクティブバイスプレジデント...