IPアドレスの枯渇問題が話題になってしばらくたった2020年代。企業はまだ問題なく「IPv4」のIPアドレスを使っている。企業はどのような状況にあり、今後どのような判断を求められるのか。
インターネット接続に欠かせない「IPアドレス」の数には上限がある。IPアドレスが枯渇するという問題を受けて、IP(インターネットプロトコル)のバージョン「IPv4」の次世代である「IPv6」が2010年ごろから話題になり、それからしばらくたった。企業は依然として問題なくIPv4のIPアドレス(IPv4アドレス)を使い、問題は棚上げだ。どのような状況なのか。
IPv4アドレスが枯渇するという問題について、インターネットが普及し始めたころから専門家は議論していた。IPv4アドレスの割り当て可能な数は約40億個しかないため、枯渇が問題になるのは明らかだった。IPv4アドレスとIPv6アドレスの両方が使われる中でも、どちらを使うべきかという議論は続いている。
北米でIPアドレスを割り当てているAmerican Registry for Internet Numbers(ARIN)のように、企業に対してIPv6への移行を推奨している団体もある。そうした働き掛けの目的は、IPv4アドレスの完全枯渇を防ぐことだ。
ほとんどの企業はIPv4アドレスを重視している。企業のネットワーク設計において、依然としてIPv4アドレスは欠かせない構成要素となっているからだ。何より、企業のネットワーク技術者はIPv4アドレスの運用に慣れている。
NAT(ネットワークアドレス変換)を使うことで自組織内のプライベートIPアドレス(特定のネットワーク内だけで使用するIPアドレス)を自由に割り当てることができるため、企業はIPv4アドレスの枯渇問題をそれほど気にしていない。プライベートIPアドレスがあれば、グローバルIPアドレス(インターネット接続時に使用するIPアドレス)が重複する問題を気にせずに済む。
ネットワーク運用をより簡単にするために、NATを使用しないことを検討する企業もある。そのような企業は、IPアドレスが枯渇する懸念がなく、暗号化の機能が実装されていたり、通信の劣化しにくさが見込めたりするIPv6を選ぶと考えられる。現状の運用ではなくこの先も考えるのであれば、IPv6が「将来性のある選択肢」になる可能性はある。
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