クラウドサービスの「エグレス料金」は、予測がしづらく高騰しやすいことが問題だ。ただし幾つかの工夫をすることで、エグレス料金の高騰を防ぐことができる。エグレス料金を節約するための3つの方法を説明する。
クラウドサービスから外部へのデータ転送時に掛かる「エグレス料金」は予測がしづらく、クラウドサービスの利用を断念せざるを得なくなるほどに高額になることもある。エグレス料金を節約するには、どうすればよいのか。主要な3つの方法を紹介する。
IT部門はインフラリソースの需要管理を通して、クラウドサービスからのデータ転送量に制限を設けるといった対策を講じることができる。ただしデータ量の変動が大きいクラウドサービスは、データ転送量を細かく管理すること自体に高いコストが掛かる。データのダウンロードを厳しく制限すると、業務プロセスに影響が及ぶリスクがある。
こうした方法よりも、データ転送の効率を最大限に高めたシステムアーキテクチャを設計する方が生産的だ。具体的な手法の一例を以下に示す。
アーカイブなどアクセスがまれにしか発生しない用途に適した「コールドストレージ」のクラウドストレージから、より頻繁なアクセスに適した「ホットストレージ」のクラウドストレージにデータを移動させることで、エグレス料金を抑えられる可能性がある。一般的にコールドストレージのエグレス料金は、ホットストレージよりも高額だ。
各クラウドサービスに保管しているデータの種類や量は、正確かつ確実に把握する必要がある。「コールドストレージのエグレス料金は、一瞬で膨れ上がる」と、調査会社Freeform Dynamicsのトニー・ロック氏は説明する。「緊急時を除いてデータを取り出すことはないと最初に想定していたとしても、コールドストレージにデータを保管するのは注意が必要だ」(ロック氏)
日常の業務を分析するために、過去のデータを活用する取り組みが企業で広がりつつある。「過去に収集した詳細なデータを保持する重要性が高まっている」とロック氏は指摘。「『そのデータの保管先が、コールドストレージで本当に適切なのかどうか』を、ユーザー企業が再考する時機が来ている」と主張する。
クラウドベンダーとの契約内容を見直すことも重要だ。ユーザー企業は、エグレス料金をクラウドサービスの利用料金に含めたり、あるいはリージョン間の転送料金を減らしたりするよう、クラウドベンダーと交渉できる。
第6回は、クラウドサービスの利用中に、エグレス料金を予算内に抑えるためのポイントを説明する。
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