クラウドサービスの利用前に綿密にコストを見積もっていても、予想外の利用料金の高騰に見舞われる場合がある。その理由の一つが「エグレス料金」だ。エグレス料金の予測はなぜ難しいのか。
幾つかのクラウドベンダーは、クラウドサービスの一定期間の利用量を確約することによる割引プランを提供している。こうした割引プランを利用するだけでは「『エグレス料金』の影響は抑え切れない」と、ストレージサプライヤーPure StorageのEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)担当フィールド最高技術責任者を務めるパトリック・スミス氏は語る。
クラウドサービスから外部へのデータ転送(エグレス)に対して発生する料金が、エグレス料金だ。クラウドベンダーは、通常のクラウドサービスの利用料金に上乗せする形で、エグレス料金を請求する。
エグレス料金は、転送するデータ量に応じた従量制課金だ。ユーザー企業が利用するクラウドの種類が増えるほど、エグレス料金が高額になる可能性がある。そのためクラウドサービスとオンプレミス型のプライベートクラウド(リソース専有型システム)を組み合わせたハイブリッドクラウドや、複数ベンダーのクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウドといった、冗長性を確保する構成を取りにくくする原因になり得る。
事態をさらに悪化させるのは、エグレス料金が透明性に欠ける点だ。エグレス料金の料金体系は複雑で、正確な予測を難しくする。コンサルティング企業/国際会計事務所KPMGでクラウドトランスフォーメーション部門の責任者を務めるエイドリアン・ブラッドリー氏は、こうした状況を「請求書ショック」と呼ぶ。
第5回は、クラウドサービスのエグレス料金を抑えるための方法を説明する。
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