英国政府は米国やEUに続き、公務用端末での「TikTok」の使用を禁止した。どのような背景から禁止に踏み切ったのか。
英国政府は2023年3月、ショート動画共有サービス「TikTok」の公務用端末での使用を禁止した。同年2月には米国政府、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会も同様の措置を取っている。一連の動きには、どのような背景があったのか。
TikTokの禁止措置は、英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC:National Cyber Security Centre)が実施したセキュリティ検証の結果を受けたものだ。検証では、特定のアプリケーションが政府の重要データにアクセスし、悪用するリスクがあることが明らかになった。
それだけでなく、英国首相のリシ・スナク氏と内務省国務相のトム・トゥゲンハット氏の発言や動向から、TiktTokの禁止措置が取られることは前もって予想されていたという。
ランカスター公領相のオリバー・ダウデン氏は、英下院が2023年3月に発表した声明の中で次のように話す。「われわれは国家の安全を守ることに尽力し、政府職員が使用する端末のセキュリティ対策に徹底して取り組んでいる」
現状、政府職員が頻繁に公務用端末でTikTokを使用しているわけではない。一方で「TikTokの使用禁止を明確に発表したことは、優れたセキュリティ対策だ」とダウデン氏は評価する。
今回の禁止措置に伴い、英国政府は公務用端末の管理体制を変更する。これにより職員は、英国政府が事前許可済みのサードパーティー製アプリケーションしか利用できないようになる。既に幾つかの省庁がこの体制を導入しており、今後は政府機関全体も追従する。
第2回は、英国政府がTikTokの利用を禁止した理由を解説する。
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