プライバシー侵害“確信犯”を撲滅へ 「Google位置情報収集」問題で進む法整備ロケーション追跡の慣習は変わるか【中編】

ロケーション追跡を巡る訴訟をきっかけに、米国でプライバシー保護に関する議論が進んでいる。エンドユーザーのロケーションを追跡している企業にとって、どのような影響があるのか。

2022年12月21日 08時15分 公開
[Makenzie HollandTechTarget]

関連キーワード

ソーシャル | データ | プライバシー


 米国40州はGoogleに対して「ロケーション(位置情報)追跡はプライバシー侵害に当たる」との訴えを起こし、Googleが3億9200万ドルの和解金を支払うこととなった。この出来事は、企業に対してロケーション追跡の見直しを促す法律制定につながる可能性がある。

プライバシー侵害“ばれなきゃいい”はもう無理

会員登録(無料)が必要です

 金銭的な制裁を科される懸念が浮上していても、ロケーション追跡技術を利用しているほとんどの企業は、この技術を使い続ける可能性がある――。調査会社Deep Analysisの創業者アラン・ペルツシャープ氏はこう考えている。「ほとんどの企業はやり玉に挙げられないことを願いながら、ロケーション追跡をし続けている」とペルツシャープ氏は説明。こうした企業は、もし制裁の対象になったら「謝罪するだけだ」と同氏はみる。

 「データの収集・利用方法について企業に責任を問う上では、プライバシーに関する法律が役立つ可能性がある」。人権団体Fight for the Futureのキャンペーンおよびマネージングディレクター、ケートリン・シーリー・ジョージ氏はこう語る。

 シーリー・ジョージ氏によると、Fight for the Futureは連邦議会に対して「米国データプライバシー保護法案」(ADPPA:American Data Privacy and Protection Act)を可決するよう働きかけている。「企業は信用できないからこそ、連邦議会は法案を可決する必要がある」と、シーリー・ジョージ氏は主張する。

 「人々のプライバシーを尊重し、保護するための方法は、政策によって企業を動かすことだ」とシーリー・ジョージ氏は強調する。そのためにはプライバシーに関する連邦法が「早急に必要になる」とジョージ氏は主張。大手IT企業の独占による権利の制限を防ぐために、強力な反トラスト法(独占禁止法)も必要だと訴える。

 幾つかの州はADPPAとは別に、プライバシーや個人データの扱いに関する州法を定めている。2022年に連邦法のプライバシー法案が立法化する可能性は低い。民主党も共和党も、こうした法律に盛り込むべき文言について、党内の意見がまとまっていないからだ。


 後編は、ロケーションなどのエンドユーザーデータを収集する企業が、今回の訴訟から得られる教訓を整理する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 Jamf Japan 合同会社

BYOD時代のIT統制強化術、事例で学ぶ安全なAppleデバイス管理

ソフトバンクロボティクスでは、働き方の変化や海外拠点の増加に対応する中で、ゼロトラストセキュリティを前提としたグローバルレベルのIT統制が必要となった。Appleデバイスを業務利用する同社は、どのようなアプローチを採用したのか。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

iPhoneやAndroidスマホを「ノートPC」に変える方法

スマートフォンの進化により、「ノートPCとの2台持ち」の必要性は薄れつつある。スマートフォンをノートPCとして使うための便利な方法を解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「在宅ワークに飽きた」を解消する“激推しガジェット”はこれだ

テレワークの普及に伴い、スムーズな仕事を実現するだけではなく、ギークの知的好奇心さえも満たすガジェットが充実している。ギークが他のギークに“激推し”したくなるガジェットを紹介しよう。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「Galaxy S24」が予感させる“AIスマホ時代の始まり”

AI(人工知能)技術の活用が広がる中で、スマートフォンの利用はどう変わろうとしているのか。Samsung Electronicsが発表したスマートフォン新シリーズ「Galaxy S24」を例にして、“AIスマホ”の特徴を紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

iOSを危険にさらす新手口 ユーザーを脅かす「機内モード」の“わな”とは?

ネットワークからデバイスを遮断する「機内モード」。それを悪用する攻撃が見つかった。「iOS」搭載デバイスを狙うその手口と危険性とは。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...