ソフトウェアベンダーのSensorFlowは、スマートビル向けにサービスを提供している。同社はスタートアップでありながら大手の顧客も獲得し、注目を集めている。たが、その裏ではITインフラのコストに苦しんでいた。
2016年に創業したSensorFlowは、スマートビルに特化したソフトウェアベンダーだ。モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)技術を活用したサービスを提供している。そのユーザーは商業ビルだけでなく、大手ホテルにも及ぶ。
同社はスマートビル実現のためのサービスを、あるクラウドサービス群で構築し、ユーザーに提供してきた。ただしその運用にはさまざまな問題があった。
同社がサービスを提供するインフラとして最初に選んだのは、Amazon Web Services(AWS)のマネージドデータベースサービス「Amazon DynamoDB」(以下、DynamoDB)と、サーバレスコンピューティングサービス「AWS Lambda」だった。
そのアーキテクチャは当初はうまく機能していたが、SensorFlowは次第にコストの増加とシステムの複雑化に悩まされるようになった。ストレージ価格の上昇もあり、コストは毎月5万ドル以上に跳ね上がっていた。
DynamoDBの運用管理が煩雑になる問題もあった。DynamoDBは自由なデータ構造で格納できるスキーマレスのNoSQLデータベースだ。スキーマレスは、開発者にとっては事前にデータベースの構造を設計する手間が省けて便利だ。しかし無秩序にデータが格納されたために、抽出するデータの一貫性を担保できなくなっていった。
プログラミングの知識がなければデータを利用しにくい点も課題だった。SensorFlowの技術畑の出身ではない意思決定者は、リアルタイムにレポートを受け取れず、ビジネスの重要な疑問にタイムリーに答えられなかった。新しくレポートを作成するためには、複数のエンジニアがデータの抽出、処理、提供に関与する必要があった。
第2回はSenserflowが、本稿で紹介した課題を解決するためにどのような意思決定をしたのかを解説する。
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