竹中工務店が築23年の自社ビルを「スマートビル」として再生NEWS

竹中工務店グループが築23年の「竹中セントラルビル サウス」を改修、スマートビルとして開業した。このスマートビルを実現した「Smart Secure Service」と、「ビルコミ」のデータ処理基盤とは。

2022年12月12日 12時00分 公開
[成澤 亜希子TechTargetジャパン]

 竹中工務店グループの建物維持管理会社であるアサヒファシリティズが、「竹中セントラルビル サウス」を2022年10月にスマートビルとして開業した。同ビルは、1999年に竣工(しゅんこう)した築23年のオフィスビルだったが、10月の開業に向けて、以下2つに取り組んだ。

  • 建物を運用管理するビルオートメーションシステム(以下、BAシステム)の効率化
    • 建物の照明や空調など、建物内外の設備のIoT(モノのインターネット)機器との連携
  • スマートビルへの改修
    • 省エネルギーによる脱炭素化を推進

 今回の開業に当たり、竹中工務店は新たなBAシステムにサイバーセキュリティ対策サービス「Smart Secure Service」と、建物OS「ビルコミュニケーションシステム」(以下、ビルコミ)のデータ処理基盤を導入した。

「Smart Secure Service」と「ビルコミ」でスマートビルを実現

 従来のBAシステムでは、建物の照明や空調、各種センサーや電力制御システムをBAシステムに接続し、オフィス空間の照度や室温を最適化したり、エネルギー利用の効率化を図ったりできる。一方、サイバーセキュリティ対策としては、ファイアウォールで建物外部からの脅威に対抗することが主で、内部におけるシステムへの不正侵入、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)や標的型攻撃を前提とした対策には十分に備えていなかった。

 竹中セントラルビル サウスの開業に合わせて、竹中工務店はSmart Secure Serviceを導入した。同社は自社ビルにて、SBテクノロジー、NEC、サイバートラスト(CTJ)が共同で開発したSmart Secure Serviceを使って、サイバーセキュリティ対策の有用性を確認する実証実験を実施した。実証実験の結果、サイバー攻撃に対して強固なセキュリティ性能が発揮されたことが同製品を導入する決め手になった。

Smart Secure Serviceが提供するサービス

 Smart Secure Serviceはビル向けのBAシステムや、工場といった建物の管理や制御を自動化するシステムに対するサイバーセキュリティ対策システム。以下のサービスで構成されている。

  • 脆弱(ぜいじゃく)性診断サービス
    • ネットワークに接続しシステムに攻撃を仕掛け侵入するテストを実施し、IoT機器や制御コントローラーに潜む脆弱性を調査・顕在化する。
  • セキュリティコンサルティングサービス
    • 脆弱性診断の結果と、社会インフラを制御するICS(Industrial Control System、産業用制御システム)のセキュリティ基準を踏まえ、ガイドラインを策定する。
  • IoT-GWサービス
    • IoTゲートウェイを使い、建物の内外からの不正アクセスやマルウェアの混入といったサイバー攻撃を検知・防御し、許可されていないアプリケーションの特定や起動の抑制などを実施する。
  • 運用・監視サービス
    • さらなる攻撃や異常に速やかに対処するため、ネットワークオペレーションセンターが24時間365日の体制で監視し、攻撃の検知に備える。

 竹中工務店はSmart Secure Serviceの導入と合わせて、同社の建物OSであるビルコミが備える機能の一つ、データ処理基盤を導入した。建物OSは、物の運用管理を効率化することや、利用者の安全や安心を向上させることを目的とする。ビルコミは、仕様が公開されている通信規格準拠のデバイスを使って構築したオープンネットワークを採用し、クラウド型のデータ処理基盤を使って建物の統合管理をするシステムだ。データ処理基盤を使うことで、AI(人工知能)技術やセンサー、設備から取得したビッグデータを活用し、効率的かつ安全にスマートビルディングを実現できる。

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