企業のIT部門の責任者を悩ませるのが予算確保だ。経営層に予算の打診をし、スムーズな協議に持ち込むために重視すべきポイントとは何か。
IT予算の確保が悩みの種だと考えるIT部門の責任者は、どのような対策を取ればよいのか。ITコンサルティング企業Nash Squaredは、年次報告書「Nash Squared Digital Leadership Report 2022」を2022年に公開。最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)、最高デジタル責任者(CDO)といった責任者が、社内でIT向けの予算を確保するために取り組むべき「5つの事項」をまとめた。同報告書は2022年7月~10月に、82カ国1785人のIT分野の責任者を対象に実施した調査を基にしている。
前編は、取締役会への関わりについて説明した。本稿は、コミュニケーションを軸に3つのポイントを紹介する。
取締役に対して、どんな言葉を使って、何を根拠に説明するかは大切なポイントだ。導入を希望するIT製品やサービスの説明をする場合に、専門用語を駆使すれば、分かるはずの説明も分からなくなってしまう。導入を希望する技術やサービスはどのようなものか、導入することでどのようなメリットを得られるのかを具体的に伝える必要がある。例えば、
といったメリットを挙げて、誰もが理解できるように分かりやすく話すことを心掛けよう。人は理解できないものの必要性を感じにくい。取締役に理解してもらえなければ、支援を受けられなくなる可能性がある。
先行きが不透明な経済状況が続く中で、企業はあらゆる投資に費用対効果の説明を求める。費用対効果を説明する際は、ビジネス用語を使うことで聞く側が理解できるようにすることが大切だ。費用対効果に関するデータを所有していない場合は、他社の調査や指標を使用することもできる。費用対効果の測定方法を示し、それによって得た成果を提示することも一つの手だ。
社内で既に予算が付いた事例の費用対効果を示すことで、新たな分野への投資を求める際の説明を、説得力のあるものにすることが可能だ。その場合に事例として挙げるのは、業務で適切に活用されている製品やサービスであることが前提となる。
新規に導入した製品やサービスを社内で活発に使ってもらうための工夫も大切だ。例えば、IT製品やサービスを使って成果を挙げた従業員や部署を表彰すること。ゲームの仕組みをゲーム以外の活動に応用する「ゲーミフィケーション」も一つの手だ。部署間で健全な競争を生み出し、従業員に適切な行動を促すことが、新たなIT製品やサービスの有効活用につながる可能性がある。
後編は、実際に経営層にIT予算の話をする際に着目すべきポイントを探る。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
コミュニケーションツールを時代の要請や社員のニーズに合わせて進化させることは、重要な取り組みとなっている。本資料では、Web会議ツールを軸とする定番プラットフォームのソリューションをフル活用した企業の事例を紹介する。
生成AIの導入や業務の俊敏化を背景に、クラウドへの移行を進める企業が増えている。しかし、大量のデータが含まれる既存のワークロードの移行には、慎重な計画が必要だ。本資料では、4つのフェーズに基づき、移行成功の要点を解説する。
技術が発展し、ユーザーニーズが多様化する中で、多くの企業は単一Linuxディストリビューションによる運用から、複数プラットフォームの運用にシフトしている。一方で課題も顕在化しており、この混在環境とどう向き合うかが問われている。
リスク管理やコンプライアンス対応の取り組みを進めることは、多くの企業にとって重要だ。しかし、どのような手順で取り組みを進めればよいのか分からないという声も多い。そこで本資料では、5つのステップに分けて、詳しく解説する。
昨今、リスクおよびコンプライアンス管理業務の重要性が高まっているが、現状では多くの組織で成果を挙げられていない。Uberでは、ある統合リスク管理ソリューションを導入し、課題解決を図った。同社をはじめ10組織の事例を紹介する。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...