企業の間でデータ活用を重視する動きが広がっている。データの真価を引き出すために、CIOは従業員にどのようなスキルを求めるべきなのか。PwCに聞く。
前編「デジタル化促進で脚光を浴びるCIO 企業の成長に必要な『戦略的指導力』の鍵は」に続き、後編もコンサルティング会社PricewaterhouseCoopers(PwC)で米国のクラウドおよびデジタルリーダーを務めるジェニー・ケーラー氏に「CIOが戦略的指導力を発揮する方法」について聞く。今回のテーマは、「チェンジマネジメント(企業の業務変革を効率的に推進するマネジメント手法)の推進と従業員のデジタルスキル向上に関してCIOができることは何か」だ。
―― 従業員のデジタルスキルを高める必要性についてはどのように考えますか。
ケーラー氏 CIOはデジタルスキルを向上させる方法に頭を悩ませている。新たな技術をビジネスに導入する意義を理解しているからだ。
調査「Next in Work」(注1)で、回答したCIOの約半数が「データ分析」を最も重要なスキルと答えていたことが興味深い。データ分析スキルを持つ従業員は、ビジネスの最前線にすぐに立つことになる。CIOは、データを集めるだけでなく、データについて創造的に考えるための分析スキルが従業員にあるかどうかを問う必要がある。IT部門が優れたツールを構築し、リアルタイムなデータを提供できるとしても、従業員がそれを手に取って使わなかったら「あのツールの価値が分からない」という感想を聞く羽目に陥る可能性がある。
※注1:PwCが2021年8月に実施した調査。調査対象は、CIO、CFO(最高財務責任者)、CISO(最高情報セキュリティ責任者)を含む米国の経営幹部。
―― デジタル化の推進や従業員のスキル向上の取り組みをリードする上で、CIOが取れる戦略的手法は何でしょうか。具体的に教えてください。
ケーラー氏 最初のステップは、従業員教育に関する手法の整備だ。CIOは目標を設定し、ITの基礎知識を身に付けられるよう指導する。例えば相手が経営幹部なら「クラウドとは何か」「その構成要素とは」といったテーマで知識を提供する講義を実施する。もし私がCIOとしてITに関する話し合いに参加するなら、そのときこそ皆のIT知識や理解のレベルを引き上げる教育のタイミングだと考える。
チェンジマネジメント施策の第一歩としてCIOは、ガバナンスや支援が企業のさまざまな要所にまたがって存在することを周知する必要がある。
新しい技術を採用し、受け入れようとする従業員個人の意欲を促すには、ただキーボードをたたくだけでは足りない。CIOは、従業員のデジタルスキル向上に正面から取り組む必要がある。ITのモダナイゼーション(最新化)によって仕事の性質が変わり、事務作業やデータ収集作業が減れば、思考や分析の比重が高まる可能性がある。その場合、今まで使っていたスキルとは別のスキルが必要になる。
CIOはあらゆるものの安全性を確保する責任がある。CIOがサイバーセキュリティを気にしているという話も繰り返し語られている。ビジネステクノロジーの変革を成功させるに当たって、人間的な配慮は欠かせない軸となる。こうした現実を反映するチェンジマネジメント施策を用意しなければならない。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
国内のITサービス市場が堅調に伸びている一方、その推進役を担うIT人材の不足が深刻化しつつある。この問題によって、特に多拠点/多店舗を展開する企業の多くが、自社のネットワーク運用においてさまざまな課題に直面しているという。
管理職の対話型マネジメントによる組織力の活性化を目的に、「1on1」を導入する企業が増えている。しかし、さまざまな課題も浮上している。最先端のAI技術で、客観的に1on1を分析し、PDCAを回して改善ができる1on1支援ツールを紹介する。
社内のセキュリティ意識を高めるために欠かせないセキュリティ教育。効果的な教育を行うには、年間を通じた計画を立てることが必要だ。本資料では、その具体的なアプローチとともに、セキュリティ教育を自動で実現するサービスを紹介する。
プライバシー保護に関する規制が厳格化する中、データの収集・活用における戦略の見直しが進められている。規制対応のガイドラインとして、求められる対策やファーストパーティーデータ活用時の留意事項などを解説する。
昨今、多くの組織が、商用サイトなどに来訪するユーザーのプライバシーデータの取り扱いや、その法令順守について戦略の見直しを迫られている。ガバナンスを確保しながらデジタルマーケティングや顧客向けビジネスを推進する方法を探る。
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...