オフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を成功に導く鍵は「企業文化」だと専門家は話す。米国企業がテレワーカーとオフィスワーカーの結束を高めるために取った方策を紹介する。
オフィスワークとテレワークを組み合わせた勤務形態「ハイブリッドワーク」が拡大しつつある。拡大に伴い、課題として考えられるのは「オフィスにいる複数の従業員と自宅にいる複数の従業員が平等な条件で参加できる会議を、どのように実施するか」だ。本連載はここまで、ハイブリッドワークやハイブリッド会議で「公平なコミュニケーションを実現する難しさ」「考え得る課題」「公平なコミュニケーションをより取りしやすくするヒント」を紹介してきた。最終回となる本稿は、ヒントの一つとして、ハイブリッドワークに合わせて企業の文化を変える必要性について解説する。
テレワークからハイブリッドワークへ移行する際には、活用するIT製品やサービスを変えるだけではなく、文化を変える必要がある。コンサルティング会社Accenture(アクセンチュア)でシニアマネージングITディレクター兼グローバルデジタルエクスペリエンス部門責任者を務めるジェイソン・ワーンケ氏は、「新しく導入したIT製品やサービスの活用方法に従業員が順応できるよう支援することが重要だ」と話す。企業はオフィスにいる従業員とリモートで働く従業員の両方に、一貫性のある方法でIT資源を割り当て、同じようにテクニカルサポートを提供することが望ましい。加えて、経営陣自ら公平なコミュニケーションを促進するマネジメント計画を策定することが必要だとワーンケ氏は考えている。
ビジネスリーダーは、チームの協働を成功させるためにハイブリッド会議の常識をどのように進化させるのがよいかを考えることが望ましい。調査会社Gartner(ガートナー)のシニアディレクターアナリストであるマイク・ファシアーニ氏は、Web会議の際にオフィスからの参加者はテーブルの片側に沿って座り、向かい側に置いたWebカメラとモニターに真っすぐ向き合うことを勧めている。「こうすればテレワーカーが画面の横や隅に追いやられてしまうことを避け、対話の輪を作ることができる」(ファシアーニ氏)
照明と看板を製造・販売するCustom Neonの共同設立者ジェス・マンデー氏は、週次の戦略会議で毎週同じような座席配置を採用している。「オフィスからの参加者とリモートの参加者が互いに顔を見ることができる」とマンデー氏は話す。結果としてオープンな雰囲気が生まれ、会議への貢献を促し、討論を活性化できると同氏は考えている。一方レクチャーやトレーニングのようにそれほど対話を必要としない会議の場合、同社の従業員は各自のデバイスから会議に参加している。そうすればそれぞれの画面で関連資料を簡単に確認できるからだ。
ハイブリッド会議の成否には、物理的な設備、従業員のタイプ、使用しているWeb会議用アプリケーションなど、企業特有の要素全てが影響する。そのため万能なハイブリッド会議モデルは存在しないと考えられる。職場での公平なコミュニケーションを実現するには、個別のトラブルへの対処が必要となる可能性がある。
デジタル製品デザインのコンサルティング会社Pixoulで最高経営責任者(CEO)を務めるデボン・ファタ氏は「技術的な問題や物流的な問題による一時中断は避けられない。忍耐と思いやりをもって問題に取り組み、その場で対処できるようにしておくことが最善策だ」と語る。同社は今では、全員が対面でやりとりをするときにだけ会議室を予約することにしている。ハイブリッド会議の参加者は、自宅にいてもオフィスにいても、それぞれの席から個別に会議に参加している。
Pixoulのハイブリッド会議を成功に導いたのは、全てのメンバーが自分のデバイスを使い、Webカメラをつけて参加する方法だったとファタ氏は考えている。「これによって、誰もが公平に参加できる環境が整った」(同氏)
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