オフィスワーカーとテレワーカーが混在する「ハイブリッド会議」は、双方に不満を抱かせる可能性がある。ある企業の例を基に、不公平が生じる理由を解説する。
デジタル製品のデザインコンサルティング会社Pixoulで最高経営責任者(CEO)を務めるデボン・ファタ氏は、リモートの参加者とオフィスからの参加者が混在するWeb会議「ハイブリッド会議」を2020年半ばに試みた。その結果、幾つかの問題に直面した。
最初の取り組みは、オフィスで働く従業員を会議室に集合させることから始まった。テレワーカーはWebカメラを使って会議に参加。テーブルの端に置いたディスプレイでテレワーカーたちの姿を表示した。「私たちの目標は、テレワーカーにも対面でのコミュニケーションのメリットを享受してもらうことだった」とファタ氏は振り返る。
ファタ氏は、この仕組みが双方に不公平感をもたらしていることに気付いた。オフィスから参加する従業員はテレワーカーの様子を気にせずに会話していた。一方でテレワーカーは、オフィスから参加する従業員よりも簡単に、会議資料の共有ファイルに素早くアクセスできる。そこで同氏は会議室にいる従業員に、自分のデバイスからWeb会議に参加してもらうことにした。だが従業員からの反論と、エコーやハウリングの問題があったため「数秒後には断念した」と同氏は語る。
企業は、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークへの移行に大きな期待を寄せている。実現の鍵になるのがWeb会議だ。調査会社Gartner(ガートナー)のシニアディレクターアナリストであるマイク・ファシアーニ氏によると、ハイブリッドワークの成功は、企業が全ての従業員に「公平なコミュニケーション」を提供できるかどうかにかかっている。公平なコミュニケーションとは、オフィスワークでもテレワークでも、従業員が平等に議論に参加し、同等の発言力を持つことを意味する。
「ハイブリッド会議の非効率さが従業員に与える影響は大きい」とファシアーニ氏は語る。もしテレワーカーが議論に参加させてもらえないと感じたら、彼らは嫌々ながらにオフィスに戻るか、仕事を辞めてしまう可能性がある。「いずれの事態も、企業の長期経営戦略を脅かすことになる」(同氏)
第2回は、テレワークの拡大でWeb会議を進めやすくなった本質的な理由と、今後起こり得る課題を解説する。
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