IBMはさまざまなストレージ製品やサービスを提供している。従来のオンプレミスサーバやアプライアンスだけではなく、クラウドサービスやコンテナを念頭に置いた製品やサービスも展開中だ。何を提供しているのか。
広範な分野で製品やサービスを提供し、業績を積んできたIBMは、自社ブランドや方針の転換を図っている最中だ。同社はどのような製品やサービスを抱えているのか。ストレージ分野の主要な製品・サービスの概要を紹介する。
大きな方針転換によって、IBMのストレージブランド「IBM Spectrum」は一部が姿を消し、「IBM Storage」に置き換わっている。フラッシュストレージアレイ「IBM Storage FlashSystem」には、「5000」「5200」「7300」「9500」の各シリーズがある。これらのシリーズは、ストレージデバイスの種類と組み合わせ、容量、コントローラーのCPUが異なる。
IBM Storage FlashSystemの各シリーズはいずれも、オンプレミスシステムとクラウドサービスを併用するハイブリッドクラウドで利用可能だ。データの階層化と移行、レプリケーション、スナップショット用にクラウドサービスを使うことができる。
フラッシュストレージアレイ「IBM Storage DS8000」がターゲットにするのは、メインフレーム「IBM zSystems」、サーバ「IBM Power」を使用するユーザーだ。具体的には、「DS8910F model 993」「DS8910F model 994」「DS8950F model 996」「DS8950F model 998」などがある。
IBM Storage DS8000は、IBMが99.99999%の可用性を保証する。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策として完全なデータ暗号化と、改変不可のコピーを安全な領域に瞬時で作成する機能「Safeguarded Copy」の他、自動階層化、災害復旧機能も提供する。ハイブリッドクラウドでも利用でき、IBM製サーバおよびメインフレームが搭載するOSとの連携性、コンテナと接続するためのインタフェースであるCSI(コンテナストレージインタフェース)も備える。
「IBM Storage Scale」は、IBMのスケールアウトストレージ(容量や処理速度を必要に応じて拡張できるストレージ)だ。ハードウェアアプライアンスノード「Storage Scale System 3500」をベースとして、数十TBから数YB(ヨタバイト)まで拡張できる。
高速分散ファイルシステム「IBM Spectrum Scale」(旧「IBM General Parallel File System」)を実行して、オブジェクトアクセスを実現する点もIBM Storage Scaleの特徴だ。オブジェクトストレージシステム「OpenStack Swift」や、オブジェクトストレージサービス「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて、オブジェクトアクセスと階層化を実現する。非構造化データおよびAI(人工知能)モデル用のワークロード(アプリケーション)と、地理的に異なる場所のノードを使うクラスタが、IBM Storage Scaleのターゲットとなる。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の「IBM Storage Fusion」は、コンテナ管理ツール「Red Hat OpenShift」と連携可能だ。オンプレミスシステムまたはクラウドサービスをオブジェクトストレージとして利用でき、単一の管理ポータルから管理可能だ。
IBMは大手テープベンダーでもある。テープドライブ製品である「TS」シリーズは、テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)の新規格「LTO-9」に準拠する。「IBM Storage Sentinel」は、OracleやSAPの製品、Epic Systemsの医療システムなどを対象にランサムウェアの検出と復旧を支援する。
ストレージに関するソフトウェアとして、IBMは以下を提供している。
ストレージ仮想化ツール「IBM Spectrum Virtualize」(旧「SAN Volume Controller」)は、由緒ある製品として「Spectrum」ブランドが使われたままだ。IBM Spectrum Virtualizeは、複数ベンダーのストレージ間での相互通信を可能にする他、クラウドストレージとの通信を可能にする。スナップショット、レプリケーション、ストレージ階層化といったストレージサービスも提供する。
次回は、ストレージ分野におけるIBMの狙いを紹介する。
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