IT業界では今も男性優位の文化が根強く、女性の参入や定着が進んでいない。人材不足が深刻化する中、ジェンダーギャップの解消は急務だ。IT業界における女性不足の現実とは。
IT業界では、「ブロカルチャー」(bro culture)と呼ばれる男性中心の価値観が根強く残り、女性をはじめとするマイノリティーにとって働きづらい職場環境が形成されている。高度なスキルを持つ人材の不足が深刻化しているにもかかわらず、IT業界は依然として女性を十分に引き付けられず、職場に定着させることにも苦戦している。今こそ、その状況を変えなければならない。
ジェンダーを含む「DEI」(ダイバーシティー、エクイティー、インクルージョン:多様性、公平性、包摂性)は、現代の職場環境において極めて重要な概念だ。実際、男女比がほぼ均等なチームの方が、効率性やイノベーション、収益、成長など、あらゆる業績指標で優れていることが、複数の調査で明らかになっている。例えば、コンサルティング企業McKinsey&Companyが2023年11月に発行したレポート「Diversity matters even more」では、女性比率が30%を超える企業は、女性比率が30%以下の企業よりも財務的に優れている可能性が高いとされている。
ところが以降で示す通り、IT業界は依然として男性主体であり、女性比率が改善していない現実がさまざまな調査で明らかになっている。
調査ごとに数値にばらつきはあるものの、米国におけるIT職で働く女性の割合は、おおむね3分の1を下回っている。以下に、その実態を示す代表的な統計データを紹介する。
このように、ジェンダーギャップは明確な現実として根強く存在している。「IT分野は男性優位である」という文化的価値観が依然として残り、それが女性たちにキャリアを追求する意欲を失わせている可能性がある」。そう指摘するのは、人事調査コンサルティング企業McLean & Companyで、人事アドバイザリーサービス担当ディレクターを務めるエイドリアン・ゴウ氏だ。
ゴウ氏によれば、人事ライフサイクルの中でも特に重要な「採用」や「昇進」といった岐路において、女性は今もなお偏見や障壁に直面している。こうした差別は、以前よりは目立たなくなったケースもあるが、それでも支援や成長の機会を女性に諦めさせるほどの影響力を持つ。
さらにゴウ氏は、IT分野における女性、特に上位職に就く女性が少ないことでロールモデルが欠如しており、それが「IT分野は男性優位の分野」という固定観念を残存させる要因になっていると指摘する。その結果、女性の参入が進まず、女性不足、ひいては人材不足という現状が続いている。
次回は、IT業界に女性が集まってきにくくなっている構造的な問題に切り込む。
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