AIを追い風に、クラウドインフラ支出が爆発的に拡大している。AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの覇権争いから、情シスが直面するコストと統制の課題を読み解く。
米Informa TechTargetの調査部門Omdiaによると、グローバルにおけるクラウドインフラへの支出は2025年第3四半期に1026億ドルに達し、前年同期比で25%増を記録した。背景にあるのは、人工知能(AI)技術の本格的な利用の広がりだ。クラウドインフラへの支出が20%増を超えるのは、5四半期連続だという。クラウドインフラの「重点」は今、どこにあるのか。
クラウド市場では、「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」「Google Cloud」の3つのサービスが圧倒的な存在感を見せている。Omdiaによると、これらのプロバイダーは2025年第3四半期のグローバルクラウドインフラ支出の66%を占めた。
Omdiaは、クラウドプロバイダー間の競争の焦点がAIモデルの性能向上から、インフラの処理能力に移行していると指摘する。インフラの強化によって、複数のAIモデルを利用可能にし、さまざまなAIエージェントを運用できるようになるという。同社シニアディレクターのレイチェル・ブリンドリー氏は、「複数のAIモデルを利用できることは、ユーザー企業がAI利用の柔軟性やコスト管理しやすさを求める中で、プロバイダーを選ぶ要件としてますます重視されている」と述べる。
AIエージェント利用の課題と普及の障壁について、Omdiaシニアアナリストのイー・ジャン氏は、「大半の企業で、ビジネス継続性、顧客体験、コンプライアンス(法令順守)を同時に実現できる標準化された技術が不足している」と指摘する。それを受け、プロバイダーは現在、その課題を解決するためのインフラ構築に注力していると同氏は言う。以下で主な施策を見てみよう。
Omdiaによると、2025年第3四半期、首位のAWSは32%の市場シェアと20%の売上成長を記録し、2022年以来の最高業績となった。アジア太平洋地域では、AWSはニュージーランドに新しいクラウドリージョンを開設し、アジア太平洋地域におけるサービス提供のためのインフラを強化した。
AWSはクラウドサービスで生成AIアプリケーションを構築するための機械学習サービス「Amazon Bedrock」の改善にも取り組み、インフラと追加サービスの両面でAIを利用しやすくする開発を進めているとOmdiaは説明する。中には、AI向けセキュリティ対策も含まれるという。
2025年12月に開催された年次イベント「AWS re:Invent 2025」で、AWSは同社の大規模言語モデル(LLM)群「AWS Nova 2」を発表した。AIモデルから、AIエージェントや自動化までのエンタープライズAIポートフォリオを強化している。
Microsoft Azureは22%のシェアで2位に入り、成長率は40%を達成した(Omdia調べ)。同社はアジア地域でのインフラづくりに投資し、2025年11月にマレーシアのクラウドリージョンを拡張した。2026年にはインドに新しいデータセンターを立ち上げる計画を発表している。MicrosoftはAIベンダーOpenAIとのパートナーシップも強化し、多方面でAI関連の開発を進めつつある。
Omdiaによると、Google Cloudは11%の市場シェアで3位となり、36%の成長を遂げた。技術面では、AIモデルライブラリ「Vertex AI Model Garden」に、オープンソースのLLM「Kimi K2 Thinking」と「DeepSeek-V3.2」を追加し、さまざまなLLMを利用できるようにした。
2025年10月、Google Cloudはエンタープライズ向けAIツール「Gemini Enterprise」を発表した。Gemini Enterpriseは高度なAIエージェント、ノーコード開発ツール、セキュリティ機能などを統合している。
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