ベンダーサポートへの不安は消えない
MicrosoftとGoogle、オンラインサービスの品質保証契約を改善
Microsoftは新しいサポートライフサイクルポリシーを発表、GoogleはSLAを改訂し、ダウンタイム容認の条項を削除した。
米Microsoftと米Googleの両社が2011年1月、オンラインサービスの契約内容を改善し、IT担当者が電子メールや文書をクラウドに移行するインセンティブを高めている。
Google AppsやMicrosoft Business Productivity Online Suite(BPOS)などのWebベースサービスは、コストを重視し、Microsoft Exchange ServerやMicrosoft SharePoint Server、Microsoft Officeなどの製品をインストールしてサポートする負担を軽減したいと考える企業に訴求する。
米国の小規模ITサービス企業J-TEKのジェイソン・マカニンチ社長は数年前からGoogle Docsを利用し、2010年はMicrosoftのOffice 365の初期バージョンを試用した。ソフトウェアの現行バージョンを使いたいが「Microsoft Office正規版のために(デスクトップPCの1台当たり)300ドル強の出費を強いられる」(同氏)ことは望まないという企業にとっては、両方とも素晴らしいサービスだと同氏は言う。
Microsoft製品のオンライン版はIT管理者の業務負担を軽減してくれる。しかしサブスクリプション料金を加算すると、年間の負担は最終的に、社内運用版のソフトウェアライセンス料を上回ることもある。独立系調査会社の米Directions on MicrosoftがまとめたMicrosoftのオンラインサービスに関する報告によると、企業が継続的にサービスを受けるためにはサブスクリプション契約を継続しなければならない。
「ほとんどはIT管理コスト削減のためにBPOSやGoogle Docsを利用しているが、社内運用版ソフトウェアと同じサポートは受けていなかった」とDirections on Microsoftのアナリスト、ウェス・ミラー氏は述べている。
この食い違いに対応するため、Microsoftは1月にオンラインサービスサポートライフサイクルポリシーを発表し、社内運用版のソフトウェアと同じ種類のライフサイクルサポートを顧客に提供するとした。
Microsoftのオンラインサービスライフサイクルポリシー
MicrosoftはWindows Azureおよび新サービスのOffice 365向けの新たなライフサイクルポリシーについて「画期的」とうたっている。しかしこのポリシーガイドラインは大半の顧客の最低限の期待に応えるものであり、ほとんどのIT管理者は当然のことと思うだろう。例えばMicrosoftは「顧客とMicrosoftの間でオンラインサービスの契約が継続している限りサポートを提供する」と約束しているが、これは顧客が当然期待することだ。
また、商用オンラインサービスを終了する場合は12カ月前に告知し、管理者側の作業、クライアントソフトウェアのアップデート、データ移植などを要したり操作性に重大な変更が生じたりする「破壊的な変更」がある場合は少なくとも12カ月前に告知するとも約束している。もちろん、セキュリティアップデートは12カ月前の告知の対象とはならない。
この新しいポリシーだけで移行に弾みが付くことは恐らくないだろう。しかし正式なライフサイクルサポートポリシーを打ち出すことで、顧客はより安心してWindows AzureとBPOSに移行できるとアナリストはみる。同サービスは年内に準備が整った段階でOffice 365に切り替えられる。
新刊の『Thinking of ... Using Microsoft Office 365?』の著者の1人であるフランク・ベネット氏によると、顧客の多くは混在環境を構築している。従ってMicrosoftが社内運用版とクラウド版のソフトウェアでライフサイクルサポートポリシーを統一したのは理にかなっているという。Office 365のライセンスはMicrosoft Online Servicesのオンライン版と社内運用版の両方を網羅するものになるからだ。
「中にはこのサポートポリシーを、Microsoft Online Servicesの導入を決断するための信頼を醸成するものと解釈する顧客もいるかもしれない。それでGoogle AppsやZohoより有利になるのか。成り行きを見守りたい」(ベネット氏)
Googleはダウンタイム容認の条項を削除
Microsoftのライフサイクルポリシーに対してGoogleは、破壊的な変更の場合、12カ月前の告知では顧客は満足しないとして次のように述べている。「事前に通告されたとしても、電子メールやプロダクティビティツールがダウンすることは企業にとってコストがかさむだけでなく、極めて破壊的だ」
その点、Googleは100%がWebであり、ソフトウェアの管理、インストール、アップグレード、パッチは全て不要だ。Webブラウザを更新すれば最新版が配信される。Googleも2011年1月にサービス品質保証契約(SLA)を改訂し、定期的なダウンタイムを認めるとしていた条項を削除した。メンテナンスのための計画的なダウンタイムをなくしたのは大手サービスプロバイダーの中で初めてだとしている。
オンラインサービスと技術サポート
この新しいSLAで企業がオンラインサービスに乗り気になるかどうかは分からない。1つ言えることとして、ソフトウェア管理の責任をベンダーに渡した後、どのような技術サポートを受けられるのかというIT担当者の不安は消えないだろう。
マカニンチ氏は、Google Appsの問題でヘルプを利用したことはないが、Googleの技術サポートについて顧客から耳にする評価はさまざまだと話す。「まっとうだ」という声もあれば、「ひどい」という声もあるという。
Microsoftについては、あるIT専門家はBPOSのサポートは素晴らしかったと絶賛し、別の専門家は上司にすぐ問題を解決しろと言われたのにMicrosoftのコールセンター任せにしなければならず、冷や汗が出る思いをしたという。
社内運用版にしてもオンライン版にしても、技術サポートは期待通りにはいかないものだ。
「ほとんどの製品の技術サポートはどのみちひどいものだ。大部分は電話でサポートを提供する『技術者』の技術知識の限界による。電話で製品サポートチームの『技術者』が問題の解決を助けてくれるのを待つよりも、疑問についてGoogleで検索した方がうまくいくことが多いと分かった」とマカニンチ氏は話している。
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