ビッグデータ活用に満足な企業は6%――米CompTIA調査使えるビッグデータを買う時代が到来?

「幹部がビッグデータを理解できていない」「データを単一のビューで参照できない」「そもそも使えるデータがない」。幾多のハードルが、ビッグデータ活用を難しくする。

2012年12月10日 08時00分 公開
[Linda Tucci,TechTarget]

 これから必ず起こるであろうデータ戦争において、大半の企業はただやみくもに戦い、必要な情報は外部から入手することになるだろう。非営利の業界団体である米コンピュータ技術産業協会(CompTIA)が最近発表した調査報告書によると、IT部門とビジネス部門の幹部のうち、「ビッグデータの概念をしっかりと理解していない」と答えた人が全体の63%に上る。さらに、そう答えた幹部らは、ビッグデータを理解できていないことを懸念しているという。

 「今、ビッグデータを理解するための対策を講じなければ、生産性とビジネスアジリティ(事業の俊敏性)の点で敗北を喫しかねない」と、こうした幹部らは考えている。「優先順位をめぐる混乱」が社内に生じることで、企業は身動きを取れなくなり、「非効率的なオペレーションのせいで利益幅が縮小」する事態に陥りかねないというわけだ。

 44ページにわたる報告書「Big Data Insights and Opportunities」(ビッグデータに関する洞察と展望)は、約500人のIT幹部とビジネス幹部を対象に、2012年7月に実施された2つのオンライン調査に基づく。報告書によると、「ビジネスを順調に成長させる上で、規模の大小を問わず、データがいかに重要か」については、IT部門とビジネス部門のどちらの幹部もよく理解しているようだ。回答者の3分の2は、「自社の保有データを活用できれば、さらに強力なビジネスを確立できるはず」との考えに同意している。

 ただしデータの確保は、今後ますます難しくなる一方のようだ。米市場調査会社のIDCは、2012年における世界のデータ量は2.7Z(ゼタ)バイト(※訳注)に拡大し、今後その量は約2年ごとに倍増すると予想している。

※訳注:1ゼタバイトは10の21乗バイトで、10億Tバイトおよび1兆Gバイトに相当。

 「多くの幹部は実際、依然としてビッグデータのラーニングカーブに沿って理解を深めつつある段階にいる」と、CompTIAの調査担当副社長であるティム・ハーバート氏は、報告書に添付した調査メモで指摘する。

 これは当然のことだろう。ただし険しいのは、ビッグデータや来たるべきさらに大規模なビッグデータのラーニングカーブだけではない。CompTIAの報告書によれば、大半の企業は、まだ社内でデータ戦争をしている状況にあるようだ。4社に3社近くの企業は、「社内に中規模から大規模のデータサイロがあり、データを単一のビューで参照できていない」と回答している。

 まだデータ活用の目標を達成できていない分野として、回答者の80%が「Webトラフィックパターンの分析」を挙げた他、85%が「メールキャンペーンの効果の測定」、88%が「ソーシャルメディアのモニタリング」を挙げる。音声や動画のファイル、ソーシャルメディアのストリーミングデータといった非構造化データは、企業が扱い慣れている従来型のデータベースには簡単に格納できないため、多くの企業はこうしたデータを活用できずにいる。

 先を見据えた計画も進行中だ。向こう2年間の予定について、大企業の41%が「ビッグデータ活用のためのデータ分析とビジネスインテリジェンス(BI)の要件を満たすべく、新たに従業員を雇う計画だ」と回答し、39%が「外部のコンサルタントベンダーを利用する計画だ」と答えた。

 ただし、こうした計画は「活用するデータを持っていてこそ」実現できる。例えば、「事業継続と災害復旧のための包括的な計画を用意している」と答えた企業は、全体のわずか3分の1にとどまる。つまり、多くの企業は、単なる「データ損失」が原因でデータ戦争に負けることになりかねないのだ。

データ戦争で勝てるのは少数

 データの管理と利用に関して、「まさに希望通りの状態にある」とした回答者は、全体の6%にとどまった。「まさに」というところが、難しい注文なのだろう。実際、回答者の3分の1は「ほぼ希望に近い状態にある」と答え、47%は「どちらかといえば希望に近い状態にある」と答えている。

 だが今後は、こうした6%の企業(何%であれ、ビッグデータをよく理解しているほんの一握りの企業)が、各業界や顧客に対して途方もなく大きな影響を及ぼすかもしれない。この報告書は、幾つかの事例を挙げている。

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