顧客の指向を理解して潜在的な問題を発見するために、多くの組織がソーシャルメディア分析に取り組んでいる。しかしまだ科学的に不正確な部分も多いという「不都合な真実」を指摘する声がある。
ソーシャルメディアは自社の顧客についてさらに多くを知りたいと考える企業にとって、最大級の情報の宝庫になっている。同時に、マーケティングメッセージの伝達とフィードバック収集を目的に、顧客と接触できる重要な場としても発展してきた。このようなパワフルなリソースの台頭により、多くの組織がソーシャルメディアのデータ利用に本腰を入れている。顧客を理解し、事業上の潜在的な問題発見力を強化するためにデータ分析に取り組んでいるのだ(参考記事:今後必須になる? ソーシャルメディアモニタリングツー)。
そうした取り組みでは一般的に、ソーシャルメディア分析ツールを利用して、Facebook、Twitter、LinkedIn、Bloggerといったソーシャルメディアの投稿やコメントの中から指定したキーワードを拾い出す。ソーシャルメディア分析ツールは、こうしたサイトのユーザーが新製品や顧客サービス、広告、会社の事業展開などについてどう思っているかを評価する一助になる。
しかし業界アナリストやコンサルタントは、ソーシャルメディアデータの分析を科学的に不正確と考えている。確かにソーシャルメディアを分析するソフトウェアは企業に貴重な情報を提供できるかもしれないが、テキストデータを解釈する場合、論調や俗語、皮肉などのニュアンスを技術で捉えるのは難しく、クエリ結果がゆがんでしまうこともあるからだ。
米コンサルタント会社、KDPaine&Partnersのケイティ・ペイン最高経営責任者(CEO)によると、企業が詳細な検索用語を用い、自社が使っている分析ツールに包括的な辞書を導入してネット上の複雑な会話に対応しない限り、ソーシャルメディアの分析結果は不正確になりかねない。大量データの分析を計画しているのでなければ、ユーザー企業自身がソーシャルメディア分析ツールを購入して調整するよりも、分析ソフトウェアのベンダーやサービスプロバイダーと契約してこの作業を任せた方が、分析処理を高速化でき、コスト効果が高い場合もある(参考記事:ソーシャルデータ分析に取り組むMicrosoftのアドバンテージとは?)。
現時点でソーシャルメディア分析ツールが最もよく利用されるのは、危機回避が目的だという。分析ツールは、製品や顧客サービスに関する苦情など、顧客の否定的な反応をいち早く察知する警報システムの役割を果たし得る。また、会社のイメージを落としかねない別の問題を検知する助けにもなる。例えば2009年に米Domino's Pizzaの従業員2人が、衛生管理ルールを破っている自分たちの姿を撮影し、その悪ふざけの動画をYouTubeに投稿して相当の注目を集めた。ソーシャルメディア分析を効果的に実施すれば、企業にダメージを与えかねない問題を、うわさに火が付く前に抑え込むことも可能だ。
米Forrester Researchのザッハ・ホファーシャル氏は、企業はソーシャルメディア分析によって、製品強化に役立つ生の情報を顧客から入手することも可能になると指摘する。どんな新機能を望むかについて意見を集める手段としては、「顧客を対象とした調査よりもソーシャルメディア分析ツールの方がより効率的」と同氏は話す。その上で一般的な調査では「具体的な改善内容について質問しても、返ってくる答えは限られる」と言い添えた。ソーシャルメディアではそのような問題は起きない。しかも接触できる顧客の数は膨大だ。Forresterが2012年5月に発表した報告書「ソーシャルインテリジェンス」の更新版によると、米国でインターネットを利用している成人の86%が、現在ソーシャルネットワークを利用している。
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