ハードウェア要件の緩和で低価格デバイスも増加へ
“おなじみのWindows”に戻りつつある「Windows 8.1」のジレンマ
更新プログラムによって機能追加が予定される「Windows 8.1」。追加される機能の幾つかは旧バージョンのWindowsが持っていた“おなじみ”の機能を復活させるようだ。
市場の需要に屈して、米Microsoftは幾つかのWindows 8.1の更新プログラムのリリースを今後予定している。これらの更新プログラムにより、タッチ操作に対応していないデバイスの利便性が高まるとともに、Windows 8のハードウェア設計の要件が広がり、以前のバージョンの「Internet Explorer」(IE)との互換性が向上する。
このMicrosoftの最新の動向は、企業や開発者コミュニティーにWindows 8やWindows Phoneを売り込む同社の戦略の一環だ。
Windows 8.1の更新プログラムで操作性が向上
米ノースボローのJ. Gold Associates LLCで社長を務めるジャック・ゴールド氏は次のように話している。「Microsoftはもはや閉塞的でユニークな環境であり続けることはできない。これはクライアントPCで実行するWindows 8.1についても同様だ。ユーザーにとってメリットがないシステムへの移行を強要することはできない。Microsoftは考えをあらため、過ちを犯したことを認め改善に努めると述べている」
「Microsoftが依然として大手企業であることに疑いの余地はない。しかし、同社に主導権はなく、やっと適切な対応がなされるようになった」とゴールド氏はいう。「このような対応をしなければ大敗を期すことになるだろう」
2014年春にリリースが予定されているWindows 8.1の機能強化は、マウスやキーボードを使用するユーザーの操作性を向上することを目的としている。
タッチ操作対応の機能には、キーボードやマウスを使用するユーザー向けには使いにくい面があった。2月末にバルセロナで開催されたMobile World Congressでは、Microsoftでオペレーティング部門担当部長を務めるジョー・ベルフィオーレ氏が、このことを認めている。また、電源や検索の機能は、チャームバーではなく、スタート画面のユーザーアカウントの横に配置されるようになる。
「タッチ機能を使用できないユーザー向けに、このような機能は慣例に従ってユーザーアカウントの横に配置されることが期待されている」と記者会見でベルフィオーレ氏は話している。
Microsoftは、タスクバーやマウスの右クリックを使用したアプリケーションの起動、終了および切り替えの操作性も強化する予定だ。
さらに、IE 11やIE 8との互換性も向上する(IE 8はWindows 7に搭載されているバージョンだ)。Windows 8とIE 11の組み合わせでテスト導入を行っている企業は、IE 8の時代に作成された社内Webアプリケーションに関する互換性の問題に直面しているとベルフィオーレ氏は指摘する。
更新プログラムがWindows 8.1の導入に大きな変化をもたらすかどうかは未知数だ。
「Windows 8の潜在顧客は慎重になるだろう」と米オレゴン州ポートランドのPortland Community Collegeでプログラマーアナリストを務めるリック・ゲッター氏は話している。同校ではWindows 8.1のテストを実施中で、同校の環境でWindows 8.1の動作を確認しているところだ。
従来の機能を復活させるというMicrosoftの譲歩から分かることがある。特にビジネス分野でWindows 8のデスクトップとモバイルデバイスの導入が進んでいないことから、同社は企業顧客の声を聞く必要性を認めていることが見て取れる。米マサチューセッツ州ファルマスのITコンサルティング会社Sepharim Groupの設立者兼チーフアナリストのボブ・イーガン氏によると、Microsoftは、Windows 8をなじみやすいものにする新しい更新プログラムによって企業シェアの拡大を図ろうとしているだけではなく、一般消費者のシェア拡大も視野に入れているようだ。
「Microsoftはようやく顧客の意向を確認して対応策を見つけることができた」と同氏は語っている。
Microsoftはハードウェアの設計要件も広げている。その結果、デバイスメーカーは1GバイトのRAMと16Gバイトのフラッシュストレージを基盤とした低コストのWindows 8デバイスを提供できるようになる。現在のハードウェアの設計要件では、デバイスに2GバイトのRAMと32Gバイトのストレージを搭載する必要がある。
Windows Phoneの出荷台数は増加するのか
2月末、Windows Phoneパートナーに新たに9社(中国Lenovo、韓国LGおよび台湾Foxconnを含む)が加わった。また、米QualcommのSnapdragon 200/400シリーズのチップセットもWindows Phone向けに設計された。
一方、MicrosoftによるフィンランドNokiaの買収は3月に完了予定だ。Nokiaは2月末に「Nokia X」を発表した。Nokia XはAndroidベースのスマートフォンだが、「Skype」「OneDrive」および「Outlook.com」を含むMicrosoftサービスが導入されている。
NokiaのAndroidベースのスマートフォンがWindows Phoneに与える影響に関する質問を受けて、Microsoftでは、コミュニケーション部門担当コーポレートバイスプレジデントを務めるフランク・ショー氏がこの状況についてブログ記事で回答した。「Nokiaの買収はまだ完了しておらず、MicrosoftとNokiaは独立した状態で事業意活動を行っている」と説明している。
さらに、ショー氏はNokia XでのMicrosoftサービスの導入状況についても説明し、Microsoftの主なスマートフォン戦略は依然としてWindows Phoneに重点を置いていることを強調した。
Nokia XとWindows以外の分野のサポートにより、Microsoftは競争環境に対してさらにオープンな姿勢を追及する。MicrosoftはAndroidからロイヤルティーとして多額の収益を得ている。一部のファイナンシャルアナリストの試算によると、この収益は20億ドルにも上るという。
最近は、Microsoftは、米Hop-onおよび米Voxx ElectronicsとAndroid特許ライセンス契約を締結した。このことから、ロイヤルティーによる収益源は、今後も存続することが予想される。
MicrosoftはAndroidの特許ライセンスで、Windows Phoneよりも多くの収益を獲得しているとゴールド氏は指摘する。
この記事に関してMicrosoftからのコメントは得られなかった。
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