老舗ベンダーとクラウド世代ベンダーを比較
iPaaSベンダー新旧対決、主要6サービスの好評と不評
ソフトウェアテスターの筆者が主要iPaaSベンダーをレビューし、老舗企業とクラウド世代の新興企業のどちらを選ぶべきかについてアドバイスする。
iPaaS(インテグレーションPaaS)ベンダーは、システムをクラウドに統合するという共通の目標を持っている。このような場合、オンプレミスにシステムが存在することは課題であり、そのためiPaaSはシステムを接続するためにコネクタとアダプターを使用する必要があった。データは途中で処理されるので、すぐに使用可能だ。歴史的に見ると、規模は大きいがミドルウェアが同じサービスを提供してきた。iPaaSベンダーは、それよりもずっと安い価格で同サービスを提供すると同時に、企業向けシステムをクラウドに統合してきた。また、クラウドに移行するシステムと各種クラウド(パブリック/プライベートクラウド)の間でもサービスを提供してきた。
もちろん、企業が独自のインフラとプラットフォームを構築してサポートするという選択肢は依然として残っている。このアプローチを採用する前に、企業は開発リソースと相互運用性の複雑度合いを検討する必要があるだろう。独自のシステムを開発できる骨格構造を提供するiPaaSサービスがあるかもしれない。
iPaaSサービスは成熟している。企業の規模に関係なく、実行可能な代替案となっている。本稿では、幾つかのiPaaSベンダーを紹介する。クラウドサービスの時代に誕生した新興ベンダーだけでなく、既存のサービスをクラウド向けに変更している老舗ベンダーも取り上げる。
新興ベンダー
MuleSoft
米MuleSoftは「Anypoint」という名前のプラットフォームを提供している。同社は、AnypointがSOA、SaaS、APIを統合するための唯一の完全なプラットフォームだと主張している。Anypointは、場所に関係なく、ユーザーが必要なものに接続できる。オンプレミス環境とクラウド環境のどちらにあるものでも接続可能だ。MuleSoftに関するレビューは、オープンソースのルーツに関してはおおむね肯定的だ。また、アドバイス、質問への回答、サポートが得られる大きなユーザーコミュニティーがある。複雑で難解な統合に特にお勧めだ。
Jitterbit
カナダのJitterbitが提供する「Harmony」は、任意のアプリケーションを接続できる唯一の統合プラットフォームだとうたわれている。クラウド環境/オンプレミス環境/ハイブリッド環境で完全な導入サービスを提供している。Jitterbitはスケーラビリティとデータのパフォーマンスを強化するためのクラスタ化に対応したローカルエージェントとクラウドエージェントも提供している。また、ソース検証データのチェック機能を提供し、データを途中でフィルターしている。顧客の満足度は99%と高い。Jitterbitのレビューでは、データ読み込みツールが優れているという記述が見られる。このツールは使いやすく大容量のデータも適切に処理するという。否定的なレビューには、米Salesforce.comと統合していない、複雑なシナリオでは使いづらいという内容のものが多い。
Dell Boomi
米Dell Boomiは、2010年に米Dell Software Groupが買収したiPaaSサービスのパイオニア企業だ。Boomiは「AtomSphere」という名前のサービスを提供している。AtomSphereには、データのクレンジング、検証、コンテンツベースのルーティング機能が備わっている。Salesforceをオンプレミス環境のデータベース構造に統合する目的で使用されることが多い。BoomiではRESTなどのWebサービスの標準が採用されており、企業間やオンプレミスのアプリケーション間で統合リンクを提供する。Boomiに関するレビューでは、簡単にセットアップできること、新しく覚える内容が少ないこと、データマッピングが優れていること、一般的なブラウザーベースの開発システムについて言及されている。だが、接続をカスタマイズできないことや資料が少ないことについて否定的な意見が散見される。
老舗ベンダー
Informatica
米Informaticaのクラウドには配布機能、カスタマイズ可能な組み込みのアプリケーションコネクタとテンプレートが用意されている。また、管理ツール、一連の開発REST API、任意のクラウドに接続するJavaベースのSDKも提供されている。オンプレミスのアプリケーションやデータベースへの接続にも対応している。Informaticaのクラウド統合機能の原動力となっているのは「Vibe」だ。Vibeはデータ処理のビジネスロジックを綿密に計画する仮想データマシンだ。Informaticaに関するレビューでは、Salesforceとの統合、エンタープライズシステムからのデータ抽出機能、ツールキット/テンプレートの使いやすさなどについて肯定的な意見が見られる。ユーザーコミュニティーが大きく、ドキュメント、サポート、情報が得られることについても肯定的な意見が寄せられている。一方、大容量のデータに関する問題、エラー処理の問題、複雑な統合シナリオへの対応に関する問題については否定的な意見が見られる。
IBM Cast Iron
米IBMの「IBM WebSphere Cast Iron」は、高速な統合を可能にするグラフィカルな構成アプローチを提供している。構成済みのテンプレートとコネクタが用意されている。例えば、データのクレンジング、移行、接続などだ。また、複数のソースを統合するためのマッシュアップ機能もある。さらには、モバイルアプリケーションとデータ処理もサポートされている。Cast Ironのレビューでは、ドラッグ&ドロップによる構成、カスタマイズ度合い、直感的なコネクタ、ドキュメントの豊富さが称賛されている。ただし、仮想イメージの作成や複雑な接続で問題のトラブルシューティングが難しいことなどについては否定的な意見が見られる。
TIBCO
他のプロバイダーと同様に米TIBCO Softwareには、多数の統合の種類に対応した構成済みのコネクタとテンプレートが用意されている。これにはソーシャルネットワークも含まれる。TIBCOクラウドバスでは、クラウドのシステムとオンプレミスのシステムの間でリアルタイムのデータ交換が可能だ。TIBCOは、複雑なエンタープライズアプリケーション(ERP、CRM)を統合できること、カスタマイズの柔軟性、全体的にパフォーマンスが高いことについて高評価を得ている。ただし、シンプルなコネクタの要件と比較して必要な作業が多いコンポーネントについては否定的な意見も見られる。
本稿で紹介したベンダーは、ほんの一部にすぎない。調査して検討すべきベンダーは他にも多く存在する。企業が最適なベンダーを選ぶには、技術的なニーズを明示的に定義して、そのニーズを財政的な要件に照らし合わせる必要があるだろう。本稿で紹介した新興企業は、クラウドサービス開発の成功者である。一方、老舗企業は需要が増えている統合プロジェクトに関して経験がある。前者が提供するのは新しく追加されたシステムで、後者が提供するのはクラウドサービスと連携するように再設計されたシステムだ。企業の開発チームがコードのツールとテンプレートに関して、どのような経験があるかが重要な検討事項になる。大手老舗ベンダーとそれよりも小さな新興ベンダーには、それぞれ長所と短所がある。どちらが良いかは、企業の技術的/財政的要件とスタッフの好み次第だろう。
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