IT基盤を総入れ替え
ケイト・スペード、ERPシステムのAWS移行を支えた「リーン」とは(1/2 ページ)
アパレル企業のケイト・スペード ジャパンは、独立をきっかけにERPシステムを含むIT基盤の総入れ替えを行った。インフラにAWSのクラウド環境を採用し、「リーン」の手法によるシステム構築を実現した。
ケイト・スペード ジャパンは、「ケイト・スペード ニューヨーク」「ケイト・スペード サタデー」「ジャック・スペード」をはじめとしたファッションブランドで服飾雑貨、アパレル事業を展開する企業だ。2012年に米国本社の100%子会社として独立を果たしたことを機に、国内の元親会社からのシステムの切り替えと、ビジネスのさらなる拡大のために基幹システムを含むIT基盤の全面刷新が必要となった。
そして、2013年夏にERPパッケージ「Infor M3」の導入と、「Amazon Web Services(AWS)」を用いたクラウド環境の構築を決定し、2015年2月に稼働を開始している。本稿では、2015年6月に開催された「AWS Summit Tokyo 2015」の講演を基に、同社のERPシステム構築およびAWS移行のポイントを紹介する。
システムを総入れ替えした背景とは
ケイト・スペード ジャパン 取締役副社長/COOの竹林朋毅氏は、今回のプロジェクトには大きく2つの要素があったと説明する。1つは、システムの完全刷新とAWSへの移行だ。基幹システム(ERP)とイントラシステム(ファイルサーバ、Active Directory《AD》、ビジネスインテリジェンス《BI》など)、POSシステムを新たに導入した。もう1つは、全社ネットワークの刷新だ。オフィスネットワークと店舗ネットワークを刷新し、米国親会社とネットワークで接続した。
システムの総入れ替えといえる大規模なプロジェクトとなった背景には、2012年の資本変更がある。ケイト・スペード ジャパンは、米国子会社として独立するまで、国内の大手アパレル企業であるサンエー・インターナショナルの傘下にあった。当時は、サンエー・インターナショナルが保有するグループ共有のシステムを使用していた。多数のブランドで共用していたため、使わない機能があったり、逆に欲しい機能がなかったりという状況だった。
独立後の2年間は、移行期間として同社とサービス契約を結び、既存システムを引き続き利用できた。ただ、その2年間のうちに全てのシステムを刷新する必要があった。
こうした背景の中、ケイト・スペード ジャパンでは、「リーン」という開発手法に着目した。竹林氏はリーンを構成する要素として次の4つを挙げる。
システムの選定作業には現場の利用者(キーユーザー)も参加し、ユーザー視点での評価を行った。業務をできるだけパッケージソリューションに合わせる形で、最終的に6社の製品を60以上の項目で比較した。輸入や物流、売り上げなどの各モジュールで必要要件を洗い出す他、GUIがユーザーフレンドリーであるか、追加のシステム開発が必要になるか、業界特有の経験や導入実績はあるか、保守サポートはどうか、ベンダー企業の財務体制はどうかなど、細かく検討したという。
「米国親会社が上場企業であるため内部統制などが非常に厳格で、システムに関しても厳しい審査があった。親会社を説得するためにも、こうした細かな評価を行い選定した」(竹林氏)
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