Web検索から金融、不正対策まで
誰でも使える「機械学習」があらゆるビジネスを変える
企業は今こそ機械学習の採用を検討し、最新のトレンドである高度な分析テクノロジーのメリットを享受すべきである。
最近、分析の世界で機械学習アルゴリズムと人工知能ツールが注目を集めている。業界の専門家や経験豊富なユーザーに言わせれば、これらのテクノロジーは称賛に値するものだという。
「機械学習モデルと人工知能モデルを採用する影響は大きい。自社製品でこうしたテクノロジー使用する方法を考えていないなら検討すべきだろう」とGoogle上級研究者のジェフ・ディーン氏は述べる。なお、同氏はGoogleのオープンソース機械学習プラットフォーム「TensorFlow」の開発指揮を執った人物だ。
誰でも使用できる機械学習
機械学習はGoogleが開発している新製品の大部分で中心的な役割を担うようになっている。米サンフランシスコで2016年6月に開催された「Spark Summit 2016」における講演でディーン氏はそのように発言している。例えば「TensorFlow」は、GoogleのモバイルOS「Android」で使用される音声認識ツールのトレーニングで中核的な役割を果たしている。またGoogleでは、ユーザーがアップロードした写真の状態を調べると自動で写真にタグ付けするツールを開発しているが、ここでも機械学習テクノロジーを活用している。TensorFlowの他の用途としては、「Google翻訳」アプリのトレーニング、「Gmail」での自動メール応答の作成、そして最近囲碁のゲームで人間のチャンピオンを打ち負かしたことで知られる「AlphaGo」システムのトレーニングなどがある。
機械学習や人工知能(AI)と聞くと気後れするかもしれない。だが、これらのテクノロジーを企業が利用し始める上で、Googleと同レベルの技術的リソースは必要ないとディーン氏は言う。現在のところ、企業が自社のデータを機械学習プラットフォームで利用する選択肢は数多く用意されている。こうしたプラットフォームでは、事前にトレーニング済みのモデルや企業が自らトレーニングできるアルゴリズムが用意されている。Googleでもそのようなサービスを提供している。またAMPLab(カリフォルニア大学バークレイ校の研究組織)によると、「Apache Spark」のデータ処理エンジンには機械学習アルゴリズムのライブラリが用意されている。こうしたサービスのおかげで新規参入の壁は低くなっている。
Spark Summitに参加した他の講演者も、さまざまな市場で機械学習を採用する機が熟していると口をそろえる。中国Baiduでチームサイエンティストを務めるアンドリュー・グ氏は「改革は短期的になる場合もあれば長期的になる場合もある。いずれにせよ、多くの業界にとって変革を行う良い機会になる」と述べる。
特にWeb検索、顧客向け金融サービス、不正検出のような分野は機械学習とAIを取り入れることで改善する可能性が高いとアンドリュー・グ氏は指摘する。また、データセンターの機能停止に関する予測と修正の提案では、これらのテクノロジーが重要な役割を担う可能性があるとも予測している。
問題は、企業では分類された構造化データが大量に必要になることだとアンドリュー・グ氏は言う。ディープラーニングを含め、多様な特色のある機械学習は、非構造化データを把握することに長けている。だが、構造化データに関しては分析モデルをトレーニングする必要がある。こうすることで、推論を行うための枠組みが整う。
高度な機械学習に着手する前に、企業は十分な規模と品質を備えたデータセットを用意しなければならない。このような注意事項はあるものの、ほとんどの企業では機械学習プログラムに着手するだけの価値はあるとアンドリュー・グ氏は話す。「ディープラーニングについては使うべきか、使わざるべきかという議論がなされている。だが、導入すれば企業とユーザーのどちらにも大きな価値がもたさらせる。そして、業界全体が変革するだろう」(アンドリュー・グ氏)
不正対策ツールとしての機械学習
Capital Oneのテクノロジーチームは、Apache Sparkに付属している機械学習アルゴリズムのライブラリを使用して、新しいアカウントの申請を分析し、潜在的な不正リスクを採点している。米Capital Oneでテクノロジー部門の統括責任者を務めるクリス・ダゴスティーノ氏は、Apache Sparkを使用することで複数のソースから取得したデータを素早く簡単に組み合わせ、より深く正確な予測を立てられるようになっていると言う。
分析モデルのデータには、Capital Oneが所有するグラフデータベースや「Hadoop」クラスタから取得したものに加えて、信用調査機関が提供する第三者のデータも含まれている。同社のテクノロジーチームは、Apache Sparkのストリーム処理モジュールと「MLlib」アルゴリズムを併用し、新たな申請が行われた時点で、その申し込みを採点している。また、精度を上げるために、そのモデルに対する継続的なトレーニングと改善も行っている。
「Apache Sparkをアーキテクチャに組み込むことなく、この種の機械学習ジョブを実行することは難しいだろう。というのも、Apache Sparkを使わないということは、さまざまなデータストアと自社でコーディングした機械学習アルゴリズムを統合することを意味する。そして、プロジェクトでは大量の時間とリソースが必要になる」(ダゴスティーノ氏)
「機械学習を短期間で抜け目なく実装するなら、より多くのことを1つのプラットフォームに統合できた方が良いだろう」とダゴスティーノ氏は語る。
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