Facebook「Workplace」の実力【前編】
Facebookの企業向けSNS、“本物”だけが提供できる価値とは?(1/2 ページ)
Facebookの企業向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Workplace」は、モバイルデバイスを使う全ての従業員にコラボレーション機能を提供するサービスだ。
企業向けのコラボレーションソフトウェアは長らく、世界で最もユーザー数の多いSNSであるFacebookとの比較で語られることが多かった。それらの中には「ビジネス版のFacebook」と評されるサービスもあれば、「やはりFacebookとは違う」といわれてしまうものも少なからずあった。
そして、ついに本物が登場した。Facebookは企業向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Workplace」でエンタープライズ市場への仲間入りを果たした。2015年1月からβ版として提供してきたこのプラットフォームについて、Facebookは“モバイルファースト”であることを強調し、これまで業務にコラボレーションソフトウェアを使用せずにきた従業員をも取り込むことを目指していると説明する。
「ここで私たちが言う“エンタープライズ”は、本社勤務のホワイトカラーだけを指しているのではない」。Facebookのプラットフォームパートナーシップ担当副社長を務めるショーン・ライアン氏は正式発表に先立ち、そう語った。
同氏によれば、これまで「Facebook at Work」の名称で提供してきたWorkplaceのβ版は既に売り場担当者やカフェのバリスタ、通信会社の現場作業者、船員など、さまざまな現場でデスクワークではない従業員同士を結び付ける役割を果たしているという。
「社内の全従業員による利用を想定しているのは、Workplaceが初めてだ。Workplaceにはデスクトップ版もあるが、あくまでモバイルファーストだ。今や従業員の大半はモバイルデバイスを活用している」。ライアン氏はそう語り、Workplaceのモバイルフレンドリーな使い勝手は他の企業向けコラボレーションソフトウェアとの差別化要因になると自信を示す。しかもその上、世界では既に10億人以上が日常的にFacebookを使用している。
「Facebookの使い方なら誰もが知っている。Workplaceは既に皆が使用しているデバイスに合わせて開発したサービスだ」とライアン氏は語る。
Workplaceは市場に変革を起こせるか
Facebookによる企業向けコラボレーションソフトウェア市場へのパワープレイ的な参入は、何カ月も前から大いに話題となってきた。市場が形成されて長い月日が経過しているにもかかわらずまだ突出したベンダーが存在しない分野にSNS最大手のFacebookが参入するとなれば、注目度の高さは当然だ。
企業向けコラボレーションツールが初めて市場に登場したのは、ブログやWikiといった「Web 2.0」技術がブームとなった2000年代半ばのことだ。それから10年、今では「Yammer」「Jive」「Slack」「IBM Connections」など、企業向けソーシャルソフトウェアの選択肢は多岐にわたる。ただし、調査会社Constellation ResearchでFuture of Work(将来の働き方)を担当する副社長兼主任アナリストのアラン・レポフスキー氏によれば、こうしたソフトウェアを採用している職場はまだ少数派だという。
「私たちはまだ、企業の従業員にもっとコラボレーション技術を活用してもらうよう働きかけている段階だ」と同氏は語る。
FacebookのWorkplaceが従業員同士のコラボレーションにどの程度の変革をもたらすことになるのかは、まだ大きな疑問だ。
「Workplaceに対する最初の感想は、“情報共有の場になるのはいいが、実際の業務にはどう役立つのだろうか”といったところだろう」。調査会社Gartner Researchでコラボレーションとソーシャルソフトウェアのリサーチ担当副社長を務めるマイク・ゴッタ氏は、そう語る。
ゴッタ氏やレポフスキー氏などのアナリストによれば、Facebookが市場に変革をもたらすかどうかは、従業員のエンゲージメントの向上や新たなコラボレーション方法の実現などを通じて、Workplaceを導入した企業が確実に投資対効果(ROI)を実現できるかどうか次第だという。そして、その評価にはある程度の時間が必要だ。
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